第三話 くらしの中で
その四
それにしてもミャンマーの娘は大変な生活なんだろうなと思うと可哀想である。
自分の会社の社員のミャンマー人の女の子たち数十人を遺して帰国するなんてことは到底考えていないだろう。
どうにか生き抜いて、再び日本へ帰れたら歓びも一入だ。
大して親孝行もせず自由に暮らして来た子なので、生きて帰ることがせめてもの親孝行と思っているようだ。
私は岸壁の母のように毎日子供の帰るのを待っているわけではないので、自由に楽しく死ぬまでの日々を過ごしたいと思っている。
完
作品名:第三話 くらしの中で 作家名:笹峰霧子