好機。
「誰ぞある」
皇王の呼びかけに応じて、広間に新たな人物が入って来た。
「は、ここに」
「だ、太政師殿?!」
中政師には、相手を凝視する事しか出来ない。
「じ…自裁された筈では……」
「この者は、そう報告したのか?」
いつの間にか太政師の背後には、中政師の見慣れた人物が立っていた。
「せ、石柳?」
太政師は懐から取り出した書状を、中政師に見える様に広げた。
「─ いかなる理由があろうとも、謀殺の儀は 世の秩序を乱す重罪である」
「も、もしかして…そ、某は……」
「── 故に、その方を死罪とする」
「は……ハメられたのか………」
「─── お主が誘いに乗らず、戯けた行い慎めば 避けられた悲劇じゃ」