見殺しの達人と悲惨な末路
おそらくそれは、自分達を想い遣って国を残してくれた先人達に対する何よりの軽視と侮辱であり、国民として、あるいは彼らの先を生きる子孫として最もしてはならないことであるはずです。
おそらくは国家というものやその意義や役目について教育の場で正しく学んだ経験のない我々にとって、それは分かり辛いことなのかもしれませんが、国家という人々の生きる場所を衰えさせることや、それを危機に晒すということは、本来はそんな忌むべき行いであるはずなのです。
あるいはそうした国家の性質を知る人だけが、本来の国民たり得るのかもしれません。
たとえ今はどこにも見当たらずとも、本来の人とは決して詰まらないものでも、下らないものでもないはずです。
もしもこれからの未来に豊かで温かい世の中というものが訪れるならば、それを形作るのはそこに住む一人一人の真っ当な在り方であり、本当の意味で優しい心の形であるということを、これからを生きるはずのあなたはどうか忘れないでいて下さい。
私のような者はそれを垣間見ることすら出来ずとも、その先を生きる優しい誰かがそんな明るい場所へ辿り着いてくれたならば、それはきっと喜ばしいことなのだと思います。
終わり
作品名:見殺しの達人と悲惨な末路 作家名:ナナシ