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はなもあらしも ~颯太編~

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 * * * 

 昼になり、美琴が重箱にお手製の弁当を作って現れると、美弦と颯太とともえは庭がよく見える縁側へとやって来て共に昼食に預かる事にした。

「すごい! これ全部美琴ちゃんが作ったの!?」
「美琴は料理上手なんだ、ともえも女なんだから、料理くらい出来るようにしておきなよ。じゃないと嫁の貰い手が見つからないぞ」
「美弦、失礼な事言わないの! ごめんね、ともえちゃん」
「あはは、美琴ちゃんが謝る事ないよ。料理はやっぱり出来た方がいいもんね」

 美弦は真弓の前では猫を被って良い子でいるが、実はちょっと乱暴な口をきくという事実を知り、ともえは軽いショックを受けていた。

「颯太だって料理上手な女の子が好きだよね?」

 美弦の質問に、美味しそうに料理を食べる颯太が少し面倒臭そうに答える。

「そうだなあ、ま、オレは腹一杯食えればめちゃくちゃうまくなくてもいいけどな」
「颯太さんは質より量ですものね」

 美琴が笑う。

「でも美琴の料理は美味いぜ」
「うん、本当にすっごく美味しい」

 ともえも口に運ぶ料理のどれも美味しくて、颯太に同意する。と、

「あ、真弓兄さま」

 ふいに美弦がそう言って、すっくと立ちあがった。
 美弦の視線の先を追うと、真弓が廊下の向こうからこちらへと向かって来ているところだった。

「おや、みんなでお昼かい?」
「はいっ! 良かったら真弓兄さまもご一緒にどうですか?」
「美琴ちゃんの手料理は是非とも頂きたいんだけどね、僕はこれから大学の方へ行かなければならないから」
「えーっ!? 真弓さんって大学生だったんですか!?」

 このご時世に大学に行けるのは、そこそこ余裕のある家庭でさらには頭脳明晰でなければ難しい。改めて日輪真弓という人物の凄さに感心する。