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はなもあらしも ~美弦編~

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第四話 罠


「ともえさん、ちょっと」
「はい」

 日輪道場に来てから二週間以上が経ったある日の夕方、道場での練習を終えて片付けをしていたともえに、幸之助が声を掛けて来た。手を止めて座り直すと、ともえは幸之助を正面に見て背筋を伸ばす。

「ちょっとこれからお使いを頼まれてくれないか?」
「はい、喜んで。どちらへ行けばいいですか?」

 まだ東京へ来て日が浅いともえだが、この街の様子をとても気に入っていた。活気があって見た事のない洋服や髪型をした大勢の人や乗り物、建物も田舎ではお目にかかれないものばかりなのだ。

「橋を渡った通りに、弓具店があるんだが、そちらで弦と矢尻をもらって来て欲しいんだ。その分はもう代金も支払ってあるから、受け取るだけでいい。もし、ともえさんも欲しい物があったら一緒にもらって来なさい」
「分かりました、ありがとうございます! 行って参ります!」