原点
キャンプ場は小高い丘になっているため、周りを遮るものが一切ない。三百六十度パノラマプラネタリウム状態だ。
僕らは持ち込んだ寝袋を芝生にひき、川の字になって星空を見上げた。男五人で満天の星空を見上げる。こんなロマンティックなことが他にあるだろうか。
星々の間隔は狭く、時折、願う時間など与えない速さで流れ星が滑っていく。星座など見つけようものなら恐らく一夜では足りないだろう。
白く流れる天の川で、濃紺の夜空は斜めに切り裂かれている。星空以外は視界には入らず、まるで宇宙に放り出されてしまったような感覚である。
天文学も随分と精度を上げているはずだが、僕らはこの宇宙を一体どれだけ知っているのだろう。
東京では決して見られない絶景に、僕らはただただ圧倒される他なかった。
星が降る夜の中で、旅の初日が終わろうとしていた。