はなもあらしも ~真弓編~
第二話 日輪と笠原 〜後編〜
よし、真弓さんに思い切ってお願いしてみよう!
「あの、真弓さんと、是非ご一緒させて頂きたいです」
ともえが少し遠慮がちに言うと、すぐに幸之助は頷いて真弓を呼んだ。
「真弓、お前がともえさんと一緒に我が道場の代表として試合に出なさい」
「はい、分かりました。ともえちゃん、よろしく」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」
微笑む真弓に勢いよく頭を下げる。
うわあ、なんだか偉そうに真弓さんを指名しちゃったけど、私ったら大丈夫かしら? 足手まといにならないように、稽古に励まなきゃ!!
出場する代表が決定し、門下生達から拍手が起こった。
「よし、それでは真弓、ともえさん」
「はい」
「はいっ」
背筋を伸ばし、幸之助をじっと見る。
「笠原道場に、二人でご挨拶に行きなさい。相手の代表者とも顔を会わせておくといいだろう」
なんと、敵である笠原道場へ挨拶に行くよう突然言われた。一瞬ともえは緊張して真弓を見る。
「はい、分かりました。それじゃあともえちゃん、着替えて昼食を摂ったら行こうか?」
すぐに真弓はともえの視線に気付いて微笑むとそう言った。その笑顔でいとも簡単にともえの緊張はほぐされてしまう。
「よろしくお願いします」
かくしてともえと真弓は笠原道場へ向かう事となったのだった。
作品名:はなもあらしも ~真弓編~ 作家名:有馬音文