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青い鳥は切り刻まれて

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数時間後、俺の部屋の部屋の荷物が運ばれてきた。
それから、あのお経みたいな歌を歌う人がが、部屋の住人と喧嘩をしながら入ってきた。
「事務所にも俺にも通さないで物事を決定するのはヤメロって、いつも言ってるだろ!?」
「オマエや事務所の返事を待ってたら決まんの何ヶ月?って話になんだローが!」
怖くて視線が釘付けになってる俺に、俺と数時間をこの部屋で過ごした訪問者が言った。
「マネージャー兼ラッパーなんですよ。彼」
「マネージャー兼!?」
俺として、マネージャーがどんな仕事をするのかは知らなかったけど、なんとなく一緒にやっていけるものではないと思って驚いた。
「多忙が好きなんですよ」
すると多忙好きの人が俺を睨む。
「しかも何だよ。この垢抜けてない田舎野郎は」
俺と数時間過ごした人が
「歌の才能だけは本物ですよ。私は彼を推しても良い」
多忙好きの人に向かって言った。
「オマエ、何言ってるんだよ!今、波に乗ってるんだぜ?危険を冒してまで新しいメンバーを入れる必要が何処にあるんだよ!!」
「だったら、彼一人だけでデビューでもイケますよ?それだけの才能はありますよ。歌に関しては」
熱く論じる多忙好きの人とは違って、俺と数時間過ごした人は淡白に答える。
「ああ、それと俺に詩を付けろって言った、あの曲は何だよ。あんなの誰が…」
多忙好きな人の文句の途中で、部屋の住人とは別のダンスを踊ってた人が入ってきた。
「な〜んか拾っちゃったんだって?」
ダンスを踊ってた人は俺を見つけて
「彼、何で寝てるの?」
場にそぐわない質問を問いかける。
その問いに部屋の住人が答えた。
「俺の所有物になったから」
「かわいそ…」
ダンスを踊ってた人は俺に近づいてマジマジと見てくる。
「んなに可哀想って思うんなら、オマエが慰めてやれば?」
部屋の住人がダンスを踊ってた人に言う。
そんなやり取りに多忙が好きな人が怒る。
「俺の話を聞けよ!大問題だぞ!!」
そんな彼を部屋の住人が冷ややかに見る。
「ジャー聞き返すけど…俺が判断誤ったことあるか?」
多忙好きの人は、その言葉に言葉を詰まらせたが反論をする。
「今回もそうとは限らねぇだろ」
「俺に間違いとかネーよ」
二人とも歩み寄る気配が無い。
俺は、こんな場所から早く居なくなりたかった。
原因が俺なだけに余計居辛い。
そんな二人を見て、俺と数時間過ごした人が
「彼の歌…聞きたくないですか?」
多忙な人ではなく、ダンスを踊ってた人の方に言った。
「おい!」
「あ、俺は聞いてみたい」
多忙が好きな人を無視するようにダンスを踊ってた人が言った。
俺と数時間過ごしてた人が俺の体を起こす。
「もう、起き上がれるぐらいにはなってるでしょう?さっきの私がアナタの為に書いた曲を聞かせてあげてください」
「え?でも…」
「ラララでもハミングでもア〜でも何でも良いですよ」
俺は彼以外の全員の顔を見た。
俺の歌を待ってる…。
躊躇いながらも、俺はさっきの曲を歌った。
やっぱり、彼の作った歌は歌いやすい。
気持ち良いところまで歌わせてくれる感じがする。
歌い終わった後、顔を見回せば、それぞれ色々な顔をしていた。
ダンスを踊ってた人は目をキラキラさせて俺を見てた。
俺と数時間過ごした人は納得した顔。
多忙好きの人は悔しそうな顔をしてて…。
部屋の住人は自慢げな顔をして笑った。
当然だと。
「どうだよ、あの曲に早く詩を付ける気になったか?」
部屋の住人は多忙好きの人を馬鹿にしたように言った。
「くそ…でも、歌だけじゃ認めらんねぇぞ!ステージに立たせるにはな!!」
そう言って、多忙好きの人は部屋を出て行った。
「俺は気に入った」
多忙好きの人が出て行った後で、ダンスを踊ってた人が言った。
「どっちに?」
意味あり気に部屋の住人が言う。
「全部」
「俺の所有物だぞ?」
「慰めても良いんでしょ?」
「物好きが…」
「今日は帰るけど、あんまり虐めないでね?」
「虐めといた方が良いんじゃネーの?」
「廃人になられたら困るしッ!」
そう言って、ダンスを踊ってた人も帰ってしまった。
「私も、あと何曲か作ってみますよ…」
そう言って、俺と数時間過ごした人も玄関へと向かっていく。
「今の曲、最高だったよ」
「んふふ…誰が作ったと思ってるんですか?」
「違いネー」
二人は笑い合って
「じゃあ、廃人にだけはしないで下さいよ?」
「オマエまで言うかよ」
俺と数時間過ごした人も帰ってしまった。
俺は部屋の住人と二人きりになってしまった。
本当なら帰りたい。
でも、そんな事が許されるわけもなかった。