おーまいごっど「ビンタの悪霊」
「じゃ、どこに行けばいいんだ?」
「坂の下の住宅街から、強い邪気を感じます」
「なんだなんだ? 俺たち付いて行っても危なくないんだろうな」
セコビッチは心配そうに訊いたが、
「何を言ってるんですか。命の一つや二つ大したことではありません」
「え! そんなに危険なの?」
セニョールも慌てて訊いた。
「そんなことなら、もういいですよ。ビンタを我慢する方が楽だから」
「もうキャンセル出来ないって言いましたよね」
「じゃ、神様一人で行ってくれよ。命かけてお願いするようなことじゃねえよ」
「そうですか? 最近の願掛けって、命かけないもんなんですね」
「当たり前だろ」
「でも大丈夫ですよ。昔は怖い悪霊や妖がわんさかいたけど、全部、陰陽師さんが退治しちゃいましたからね」
「陰陽師って、あの安倍晴明!?」
セニョールが食いつくと
「やっぱり知ってます? 彼が一番有名ですよね。人間なのに神力を身に付けちゃって、僕より凄かったですよ」
「じゃ、危険な悪霊はもういないってこと?」
「はい、強烈なのはほとんど。それでお祓いなんか、必要なくなって来たんでしょうね」
「あの、それから陰陽師さんは神様になれたの?」
「ああ、もともと陰陽師に関する神様ならたくさんおられるんで、安倍さんは諦めて、仏様のところに行かれましたよ」
作品名:おーまいごっど「ビンタの悪霊」 作家名:亨利(ヘンリー)



