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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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おーまいごっど【完結版】

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プロローグ



 真っ白な廊下を、顎髭を蓄えた若い男が、肩を落として歩いておる。
西日が差し、白い廊下は金色にも見え、その上をまるで動く歩道のように進んでいるのじゃ。静かにゆるりゆるりと。
 こやつはつい先ほど、上司にこっぴどく叱られて、溜息をついて落ち込んでおるところなんじゃ。後悔と反省の念から、気を引き締めて、自分の役目を全うしようと・・・イヤイヤ、もうこやつにはそんな猶予などないわい。
 今日ついに上役の逆鱗に触れて、左遷を言い渡されてしまいおった。

 周囲の者は、
『あー、不憫どすな。あそこへ行かされはるんどすか。』
『仕方おへんわなぁ。精進して来なあかんえ。』
などと同情しておる。

 廊下を歩く足取りを止め、雲に沈むお日様に、2回パンパンと手を合わせ、そやつは頭にかぶっていた烏帽子をとった。それを小脇に抱え、つぶらな目をぎゅっと瞑り、息を止めて廊下から飛び降りおった。そして、そのややポッチャリした体は光に包まれて、すぐ下に広がる雲海の中に飲み込まれ、ゆっくりと消えて行った。
 あやつの行き先は下界。人間界で再修練を言い渡された、落ちこぼれの神なのじゃ。