百代目閻魔は女装する美少女?【第八章】
「ここが、ニュースになっていたアキバのコンビニだ。なんの変哲もないごく普通の店のようだな。」
「こんな遅い時間で、街には人の気配が少ないに、コンビニには客がいるのね。幽霊なんかが出てこなきゃいいけど。ブルブル。」
「きゃはは。由梨たん。まっほたちはジバクを探しに来たんだよ。ここに出てくれないと来た意味がなくなるよ。そんなに怖いのかな。」
「じょ、冗談よ。マイケルジョーダンはバスケの名人よ。セレブに怖いものなんてあるはずないじゃない。ははは、はっ。」
「ではこれではどうかな?」
「きゃー、ぎゃー、わー、わー!!!」
美緒が般若の面を被って、由梨に見せた。これは夜に見ると怖い。般若のお面は基本、薙刀に変わるが、こういう使い方もできるらしい。
「なんだか騒がしいわね。ちょっと、あなたたち、うるさいわよ。」
出てきたのは、頭に大きな赤いリボンをつけた少女。ジバクである。
「やっと会えたな。こうして、餌を撒いておれば、じきにやってくると思っていたぞ。ここで会えたが百年目だ。」
「もしもし。あのう、初めてお会いしたと思うけど。」
「そうとも言う。」
「なんなの、この人。いや幽霊。」
「幽霊ではない。神である。」
「ますます変な幽霊。早く消えよっと。」
「こら、待たないか。我らはお前に用があってきたんだ。」
「用って?」
ジバク少女は、由梨が抱きかかえている絵里華を見た。
「ははん。その娘のことね。」
「この絵里華をいったいどうした?この神たちは絵里華を元に戻すためにここにやってきたのだ。」
「その娘、絵里華って言うんだ。あんたたち、アタシたちの仲間よね。元々死んでるんだし、別に意識がなくても、何も変わらないんだから、別にいいじゃない。」
ジバク少女は強気の姿勢である。
「そういう問題ではない。幽霊とて人格はある。人権もだ。それを奪うとは許せん。早く元に戻すんだ。」
「いきなり、何を言ってるのよ。そんな風になったのは、その娘に問題があるからよ。アタシは何もしてないわ。」
「何もしてないだと!では聞くが、このあたりで最近起こっている人間が魂を抜かれている事件に、お前は関与していないと言うのか?」
「お前って言う呼び方、気に入らないわね。これでもちゃんと名前はあるんだからね。『為善真実(ためよしまみ)』と言うわ。」
「変な名前だな。偽善と真実か。正反対を並べたものだな。」
「いちいちうるさいわね。ためよし・まみなんだから。関係ないでしょ。」
「そうだな。特に苗字は自分でつけるわけではないしな。」
「そうよ。わかればいいわ。じゃあ、アタシはこれで。」
「ちょっと待て。話はまだ終わっていないぞ。お前はなぜここにいる?」
「なぜって、やりたいことをやっているだけよ。」
「やりたいこととはなんだ。」
「この世の中は嘘だらけ。アタシもそんな嘘の中で生きてきた。嘘こそ、人を幸せにするの。それを広めようとしているだけよ。」
「たしかにそれは一理ある。人間世界の多くは嘘でできている。政治からそうであるのは間違いない。嘘があるからこそうまくいっている部分が数多くあるのは事実だ。それを否定するつもりはない。」
「そうでしょう。だから嘘をつかせて、幸せにしてやってるのよ。」
「ちょっと待て。やっぱり、このところの事件はお前が原因なんだな?」
「お前じゃない。真美と呼んでよ。」
「わかった。真美はいったい何をやってるんだ。」
「人に乗り移って、適当な嘘をつかせているだけよ。でも、嘘でもないんだよ。」
「どういう意味だ。」
「乗り移って、本人の潜在意識に働きかけてるだけよ。本当に思っていることを言わせてるだけよ。」
「それだけなら、意識を失うことはあるまい。あれは魂を奪われた姿であろう。」
「その通り。あなた、なかなかできるわね。名前は?」
「神代美緒という。神と呼ぶがよい。」
「ははは。自分で神とはね。苗字から取ったのではなさそうね。相当な自信家だわね。でも負けないわよ。」
真美は軽く舌を出して、腕まくりをした。
「別に勝負に来たわけではない。」
「そうでしょうね。神、眠っている絵里華を元に戻したいと言ってたわね。でもその前に解明すべきことがあるわ。」
「そうだ。どうして、絵里華は眠ったんだ。他の人間からどうやって魂を抜いたんだ。」
「教える必要なんてないわ。」
「そうくると思ったぞ。ならば、力づくに頼るしかないな。『言わぬなら言わせてみようホトトギス』だ。」
美緒はお面を取り、薙刀に変換する。刃の先が月光にキラリ。切れ味は今日もよさそうだ。
「なにそれ。アタシを斬ろうっていうの?ずいぶん野蛮だわね。」
真美がそう言った瞬間に、すでに美緒は間合いに入っており、袈裟がけに斬った。
「うあああああ~!」
真美の悲鳴が耳を劈く。真っ二つにされた胴体が転がる。一巻の終わりか。
「なんてね。アタシは嘘をつくのが得意。これくらいは簡単ね。」
転がっているのはただのオヤジ風のジバクだった。ジバクとしての価値がないようにしか見えないので、問題なし。
「武力で威嚇してもダメだよ。そんなことしたって、答えるつもりはないわ。でも出血大サービスするわ。アタシに心の底から『好きだ。』と言ってくれたら成仏してやるわ。天獄でも地獄でも逝ってやるわ。とてもできるとは思えないけど。あなたにはねえ。女の子だもんね。ははは。」
「女の子ではない。神だ。正確には女神だが。」
「言っとくけど、アタシは百合ではないんだからね。『オオカミ少女』とは違うわよ。なんならアタシに嘘をいってごらんなさい。」
真美の言葉に乗った美緒。
「そうか。ならば、こうしよう。ここに由梨という女子がいる。」
「美緒なによ。いきなりあたしを指差して。セレブに向かって失礼だわ。」
「まあ、そう言うな。それで、この由梨のカップはDだ!」
『が~ん!』
真美は目を白黒させている。ちなみに、今の感嘆詞は由梨のものである。
「た、確かに、それは大いなる嘘だわね。」
『ビューン』
美緒のからだが、絵里華の方に吸い寄せられるように、近づいていく。そして何か白いものがからだから抜け出ていく。
「ハッ!」
美緒は瞬時に糸電話の糸を使って、自分から抜けだしそうになっていた魂を引き戻した。
「さすがねえ。神を名乗るだけのことはあるわ。反射神経は並みじゃないわね。でもあのままだったら、美緒も魂を吸い取られていたわよ。どう、アタシの能力、わかったくれたかしら。今度会う時が楽しみねえ。あなたたちには何もできないと思うけど。アハハハ。」
真美は挑発の言葉を残して、スーッと闇に消えた。
「う~ん。これは困ったな。さっきは予め攻撃を予想していたから、糸電話の準備もしていたので、なんとか逃れられたが。やっかいな相手であることは間違いない。ひとまず、生徒会室へ戻って作戦を練り直そう。」
美緒が先導し、全員が学校へ帰ることになった。
「よし、では作戦会議だ。」
生徒会室で美緒が号令をかける。
『シーン。』
誰も発言をしない。どうしたらいいのか、わからないのであろう。しばらく沈黙の時が過ぎた。数分が何時間にも感じられた。
「もう仕方ないわね。じゃあ、あたしがアイデアを提供するわ。」
「こんな遅い時間で、街には人の気配が少ないに、コンビニには客がいるのね。幽霊なんかが出てこなきゃいいけど。ブルブル。」
「きゃはは。由梨たん。まっほたちはジバクを探しに来たんだよ。ここに出てくれないと来た意味がなくなるよ。そんなに怖いのかな。」
「じょ、冗談よ。マイケルジョーダンはバスケの名人よ。セレブに怖いものなんてあるはずないじゃない。ははは、はっ。」
「ではこれではどうかな?」
「きゃー、ぎゃー、わー、わー!!!」
美緒が般若の面を被って、由梨に見せた。これは夜に見ると怖い。般若のお面は基本、薙刀に変わるが、こういう使い方もできるらしい。
「なんだか騒がしいわね。ちょっと、あなたたち、うるさいわよ。」
出てきたのは、頭に大きな赤いリボンをつけた少女。ジバクである。
「やっと会えたな。こうして、餌を撒いておれば、じきにやってくると思っていたぞ。ここで会えたが百年目だ。」
「もしもし。あのう、初めてお会いしたと思うけど。」
「そうとも言う。」
「なんなの、この人。いや幽霊。」
「幽霊ではない。神である。」
「ますます変な幽霊。早く消えよっと。」
「こら、待たないか。我らはお前に用があってきたんだ。」
「用って?」
ジバク少女は、由梨が抱きかかえている絵里華を見た。
「ははん。その娘のことね。」
「この絵里華をいったいどうした?この神たちは絵里華を元に戻すためにここにやってきたのだ。」
「その娘、絵里華って言うんだ。あんたたち、アタシたちの仲間よね。元々死んでるんだし、別に意識がなくても、何も変わらないんだから、別にいいじゃない。」
ジバク少女は強気の姿勢である。
「そういう問題ではない。幽霊とて人格はある。人権もだ。それを奪うとは許せん。早く元に戻すんだ。」
「いきなり、何を言ってるのよ。そんな風になったのは、その娘に問題があるからよ。アタシは何もしてないわ。」
「何もしてないだと!では聞くが、このあたりで最近起こっている人間が魂を抜かれている事件に、お前は関与していないと言うのか?」
「お前って言う呼び方、気に入らないわね。これでもちゃんと名前はあるんだからね。『為善真実(ためよしまみ)』と言うわ。」
「変な名前だな。偽善と真実か。正反対を並べたものだな。」
「いちいちうるさいわね。ためよし・まみなんだから。関係ないでしょ。」
「そうだな。特に苗字は自分でつけるわけではないしな。」
「そうよ。わかればいいわ。じゃあ、アタシはこれで。」
「ちょっと待て。話はまだ終わっていないぞ。お前はなぜここにいる?」
「なぜって、やりたいことをやっているだけよ。」
「やりたいこととはなんだ。」
「この世の中は嘘だらけ。アタシもそんな嘘の中で生きてきた。嘘こそ、人を幸せにするの。それを広めようとしているだけよ。」
「たしかにそれは一理ある。人間世界の多くは嘘でできている。政治からそうであるのは間違いない。嘘があるからこそうまくいっている部分が数多くあるのは事実だ。それを否定するつもりはない。」
「そうでしょう。だから嘘をつかせて、幸せにしてやってるのよ。」
「ちょっと待て。やっぱり、このところの事件はお前が原因なんだな?」
「お前じゃない。真美と呼んでよ。」
「わかった。真美はいったい何をやってるんだ。」
「人に乗り移って、適当な嘘をつかせているだけよ。でも、嘘でもないんだよ。」
「どういう意味だ。」
「乗り移って、本人の潜在意識に働きかけてるだけよ。本当に思っていることを言わせてるだけよ。」
「それだけなら、意識を失うことはあるまい。あれは魂を奪われた姿であろう。」
「その通り。あなた、なかなかできるわね。名前は?」
「神代美緒という。神と呼ぶがよい。」
「ははは。自分で神とはね。苗字から取ったのではなさそうね。相当な自信家だわね。でも負けないわよ。」
真美は軽く舌を出して、腕まくりをした。
「別に勝負に来たわけではない。」
「そうでしょうね。神、眠っている絵里華を元に戻したいと言ってたわね。でもその前に解明すべきことがあるわ。」
「そうだ。どうして、絵里華は眠ったんだ。他の人間からどうやって魂を抜いたんだ。」
「教える必要なんてないわ。」
「そうくると思ったぞ。ならば、力づくに頼るしかないな。『言わぬなら言わせてみようホトトギス』だ。」
美緒はお面を取り、薙刀に変換する。刃の先が月光にキラリ。切れ味は今日もよさそうだ。
「なにそれ。アタシを斬ろうっていうの?ずいぶん野蛮だわね。」
真美がそう言った瞬間に、すでに美緒は間合いに入っており、袈裟がけに斬った。
「うあああああ~!」
真美の悲鳴が耳を劈く。真っ二つにされた胴体が転がる。一巻の終わりか。
「なんてね。アタシは嘘をつくのが得意。これくらいは簡単ね。」
転がっているのはただのオヤジ風のジバクだった。ジバクとしての価値がないようにしか見えないので、問題なし。
「武力で威嚇してもダメだよ。そんなことしたって、答えるつもりはないわ。でも出血大サービスするわ。アタシに心の底から『好きだ。』と言ってくれたら成仏してやるわ。天獄でも地獄でも逝ってやるわ。とてもできるとは思えないけど。あなたにはねえ。女の子だもんね。ははは。」
「女の子ではない。神だ。正確には女神だが。」
「言っとくけど、アタシは百合ではないんだからね。『オオカミ少女』とは違うわよ。なんならアタシに嘘をいってごらんなさい。」
真美の言葉に乗った美緒。
「そうか。ならば、こうしよう。ここに由梨という女子がいる。」
「美緒なによ。いきなりあたしを指差して。セレブに向かって失礼だわ。」
「まあ、そう言うな。それで、この由梨のカップはDだ!」
『が~ん!』
真美は目を白黒させている。ちなみに、今の感嘆詞は由梨のものである。
「た、確かに、それは大いなる嘘だわね。」
『ビューン』
美緒のからだが、絵里華の方に吸い寄せられるように、近づいていく。そして何か白いものがからだから抜け出ていく。
「ハッ!」
美緒は瞬時に糸電話の糸を使って、自分から抜けだしそうになっていた魂を引き戻した。
「さすがねえ。神を名乗るだけのことはあるわ。反射神経は並みじゃないわね。でもあのままだったら、美緒も魂を吸い取られていたわよ。どう、アタシの能力、わかったくれたかしら。今度会う時が楽しみねえ。あなたたちには何もできないと思うけど。アハハハ。」
真美は挑発の言葉を残して、スーッと闇に消えた。
「う~ん。これは困ったな。さっきは予め攻撃を予想していたから、糸電話の準備もしていたので、なんとか逃れられたが。やっかいな相手であることは間違いない。ひとまず、生徒会室へ戻って作戦を練り直そう。」
美緒が先導し、全員が学校へ帰ることになった。
「よし、では作戦会議だ。」
生徒会室で美緒が号令をかける。
『シーン。』
誰も発言をしない。どうしたらいいのか、わからないのであろう。しばらく沈黙の時が過ぎた。数分が何時間にも感じられた。
「もう仕方ないわね。じゃあ、あたしがアイデアを提供するわ。」
作品名:百代目閻魔は女装する美少女?【第八章】 作家名:木mori