狐憑き
刈った草の中には、獣の毛や骨が散らばっておったそうだ。棚田の段の下の斜面には小さな巣穴があったので、それはどうやらキツネの死骸のようだった。
しかも、そのキツネの骨の周りには、もっと小さな死骸も散乱しておったそうだ。
そのおじさんが、前に草刈りをした時に飛び出した母ギツネが、なんとか子ギツネの待つ巣穴まで帰って来て息絶えたんだろう。腹をすかした子ギツネたちも巣穴から出て、母ギツネの周りで死んでしまったのだろうな。
皆でその畦に祠を作り、キツネの親子を丁重に弔ったそうだ。
それからすぐ、キヨコさんは元通り、元気になったという。
了