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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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狐憑き

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狐憑き



 あれは昭和のころの話だがのう。かなり前のことで、本当にあったのか、ただの噂話だったのか、今となっては確かめようがないな。でもわしが子供のころ、本家の実家がある田舎で、祖父から聞いた話だ。

 本家の前には田んぼがあってな。その家は集落の一番上に建っておって、棚田が下の町道まで幾段にも連なっておった。
 そこに今も一枚だけ、耕しておらん田んぼがあるんじゃ。その横に祠があってな。その周りの草も刈ってはならん掟なんじゃ。

 棚田の所々には数件の家が建っておって、全部、わしら分家筋の親戚ばかりだったようだ。
 わしとの血筋はよく知らんかったが、盆や正月に田舎に行く度に、皆優しく声をかけてくれておった。本家のすぐ下の家は、うちとは割と近い親戚らしく、苗字もわしらと同じで、祖父と祖母が元気にしておるか、度々様子を見に来てくれておったそうだから、わしもそのおじさんの顔はよく知っておる。

 そのおじさんの家に、年頃の娘がおってな。キヨコとか言うたと思う。ちょっと面白い娘でな、いつも派手な服を着てらしたんで、わしもよう覚えておる。
 畑仕事を手伝う姿を見かけるくらいで、話したことはなかったんだが、ある時祖父から、そのキヨコさんが狂ってしもうたって聞かされたのだ。
 なんでその話を祖父がしたのか覚えておらんが、スイカを食いながら話しておったから、おそらく夏休みに遊びに行った時のことだったんだろうよ。

作品名:狐憑き 作家名:亨利(ヘンリー)