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僕の還るべき場所~愛する君に伝えたいコト

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朝食が終わり、合法薬物の時間だ。ちゃんと飲んだか、人形どもは口の中まで確認する。滑稽だ…。そして仲間は愚直なほど従順だ。そして僕も…。はやく出所するために言うことを聞かねばならない。自尊心も、誇りも全て捨ててまで望むこと。この世界に復讐すること。その思いだけが今の僕を支えていた。そんな自分が一番愚かで滑稽だ。二度と昔の頃のような自分には戻れない。そんな自分を誰がもう一度好きになってくれるのだろうか…。


.No Title
 僕の人生はあまりよくはない。思春期にはイジメたり、イジメられたり…。まぁ、よくある話だ。イジメといっても過激なものではないと自負している。思春期にはよくあることだろう。それで、人の痛みなどがわかってくる。反面教師だ。そんなことをしなくても人の痛みがわかる人間になりたかった。みんなが僕のことをどう思っているか大人になった僕は未だに怖くて聞くことが出来ないでいる。

君に初めて出会ったのは十四歳の春。転校してきた君を僕は正直、なんてかわいいんだろうと思った。もじもじする君。テレテレする君。僕の心に火をつけた。イジリ対象から、気になる人、好きになるまで時間はかからなかった。僕の友人が君に告白をした…。僕は自分の心とは裏腹に友人を応援した。実際その場に僕もいた…。君に僕は最低なこと言う。断る君にしつこく僕も「付き合え。」てと繰り返す。だけど、君は自分にすごく正直だ。無理なものは無理だと。ごめんなさいと…。綺麗だと思った。どこまでも自分に正直で、信念を曲げない。僕は君が眩しかった。

 毎日のごとく僕は君をイジメる。僕の斜め前に座っている君に僕はたまらなくちょっかいを出す。愛おしい君…。席替えでこんなに僕の近くにいる。毎日が楽しかった。友人たちと笑い、ケンカして。そんな日常がとても幸せだということにどうして気づけなかったのだろう…。

 僕は君に思いを告げることなく、クラスも離れ、進学先も分かれて、君との接点がなくなった。

 君のいない春が訪れる。こちらは入学式だっていうのに桜はまだ咲かない。雪が残っている。寒い…。幼いころから一緒だった友人たちとも離れたり、一緒だったり。みんな自分の蕾から花へとそれぞれ変化しようとしていた。僕は蕾にさえまだなっていない。このまま枯れるのだろうか…。

 周りは真新しい制服に初々しい反応、幼さがまだ残る大人へと確実に階段を上っていた。君は今笑っていますか?君の事をもう二度と思い出さないように、僕は僕の心に鍵をかけた。二度と会うことが叶わないのなら、この恋心はずっと独りぼっちになるから。僕は新しい一歩を踏み出すために、君への恋心を閉じ込めたんだ。二度と出てこないようにと…。なんて独りよがりで、自分勝手なんだろう。
 こうして僕は罪を重ねていくことにまだ気づかないでいる。


.No Title
目が覚めた。滴が頬を伝う。ツラく悲しい記憶の片隅に時折煌めく、眩しい思い出。僕は、そんな思い出に心を打ちのめされる。希望を捨てることが出来なくなるから。諦めきれなくなる。僕を諦めさせてくれよ…。僕はもう頑張りたくない。傷つきたくないんだ。戻れる、戻りたいなんてもう思いたくない。どんなに涙も、血も流しても僕はまだ生きている。諦めきれない中途半端な元・人間。僕にできる事。全てを捧げ、失ってもあの世界に還る。

でも僕を待っていたのは、頭のおかしい人間というレッテルを貼られたまだ見ぬ世界だった。
僕の言う事はまぁ、信じてもらえず…。家族が変な目で見られる。犯罪者の様な気分になる。好奇な目。冷たい視線。僕の言うことは狂言扱い…。
どんなに真実を告げても、相手方に言われる事はみんな同じ言葉…。前科持ちの僕はこの世界では現・人形どもには敵わない。僕は信じていた人たちに裏切られる毎日。涙する家族。僕は心が打ちのめされ、自分が傷つくより家族が異端の目で見られたり、涙することのほうがよっぽど辛かった。

家族は僕を信じてくれる。もちろん、僕は嘘を言っていない。だけれども、立場が弱すぎるのだ。この世界で僕の生きる場所はないんだと世界に否定された。

誰か僕を殺して…。殺してくれよ。お願いだから…。家族が傷つくのは、涙するところなんかもう見たくないから。兄さんにも迷惑が掛かってしまっているんだ。僕のことを職場で「お前の弟頭がおかしいんだよな?」と馬鹿にされ、どんなに辛かっただろうか、悔しかっただろうか…。僕は、僕が生きている事で大切な人たちを傷つける事しかできない命ならいらない。お願いだから死なせてください…。毎日家族に僕が一番傷つける言葉を吐いた。

僕は生きたいから、もう一度この世界に還りたいからと自分が望んで還ってきたはずなのに。どうして…。

僕は自分を傷つけ、自ら望んで薬物を大量摂取。収監、出所を繰り返した。合法薬物だからか、大量摂取しても意識がなくなり、胃洗浄されて一日保護され休養。手首を切っても縫われて終わり。出血死は難しい…。僕は家という牢獄に入っていたからね。味方のはずの家族は、おかしくなった僕を閉じ込めた。両親は百キロを超えた醜い僕を、薬物の副作用が激しく体重が増える、食べ物を求める僕をきっと見たくはなかったのだろう。必要最低限は自分の部屋から出ることを許してくれた。いつも家には誰かがいる…。センサーだらけの家から出ることは叶わない。死ぬことさえ許されない。僕は何の為に産まれて、何の為に生きてきたのだろうか。誰か教えて…。僕はどれだけ罪を償えば許されますか…?

どれだけの月日が流れたのか…。僕はもう大分歳を重ねたみたいだ。友人たちは今頃どうしているのだろうか。自分の種が実り新たな花が芽吹いていた。そんな話が耳に入るほど僕の生きている意味、価値が分からなくなった。価値としては、現・人間のためのモルモット。実験体としての価値はすごく高いだろう。僕はそのためだけに産まれてきたのだ。

そうだ。僕は記憶も一部消されているのだから。人間の脳に電気を流す?恐ろしいことを思いつくものだ。僕は未だに記憶は戻っていない。仲間の花たちが真っ盛りの中、僕は…。僕だけが、研究所に収監されていたのだから。許さない。人間。僕は僕を実験体にした人間を憎んだ。周りの仲間も全て憎んだ。この命がある限り、僕はこの世界に復讐をする。