かけがえのない思い出 ~掌編集・今月のイラスト~
俺にとってかけがえのない思い出を、この娘も大切にしていてくれた……俺は目頭がジワリと熱くなるのを感じた。
「うん、お願いね、約束よ」
麻美はそう言って握りこぶしから小指を突き出して俺に向かって差し出した。
その小指に小指を絡めると、麻美は小さかった頃のような笑顔を見せてくれて、俺も釣られて笑った。
その拍子に涙がこぼれ落ちたが、俺はそれを拭おうとはしなかった。
この娘には俺の弱いところを見せても良いんだ……そう思ったから……。
作品名:かけがえのない思い出 ~掌編集・今月のイラスト~ 作家名:ST