「キコちゃんはちょっと小さい」〜告白編〜
キコちゃんは話しながら頬を染め、不安そうに胸に手を当てていた。でも、決定的な一言は出てこない。まさか。
まさか、全然意味もわからずに、自分の気持ち全部喋ったのか!?この子…!
ていうか!キコちゃんが、今話した自分の気持ちがなんなのかちゃんとわかってたら、俺はどう断ればいいんだよ!?
俺は一人で汗をかき、あたふたと体を動かしたいのをなんとかこらえて黙っていた。
キコちゃんはそこでやっと顔を上げて、こう言った。
「一也さんって…誰かと一緒にいて、“うれしいのに、恥ずかしいな、ずっと一緒にいたいな”って思ったこと、ありますか…?」
そう言って、キコちゃんは切なげに胸元で両手を握り合わせていた。
作品名:「キコちゃんはちょっと小さい」〜告白編〜 作家名:桐生甘太郎