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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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「キコちゃんはちょっと小さい」〜告白編〜

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学校に着くとホームルームも始まっていなかった。俺はどうやらいつもの時間通りに学校に着いたらしい。「寝ぼけていて、7時半近くを8時半に間違えたのかも」と思い、「だったらあんなに焦らずに朝飯を食べてくるんだったな」とすきっ腹を抱え、期末考査の第一日目に臨んだ。


三時限目は、日本史だった。暗記科目だからとちょうど昨日勉強したばかりだし、意外とするする答えは出てきた。でも、どこか違和感を感じていた。


あれ…?これって、キコちゃんが丸を付けてたものばかりじゃないか…?


俺はそんなに記憶力は良くないので、キコちゃんが指し示した範囲をすべて覚えてはいなかったけど、なんとなくそう感じた。そして日本史の回答が終わってから、ちょっとだけ考える。


彼女は普通じゃない。この間も、お金を寸分違わぬ形で大量に増やした。とすると、おそらく今朝時計が少し前に戻ったのも、昨日キコちゃんが「ここが出る」と言ってわかるはずのない試験範囲を当ててみせたのも、キコちゃんの力の為せる業なんだろう。


…皆さん、俺は数学が苦手だ。しかし、もしキコちゃんが答えがわかるとするなら…と、そこまで考えて、俺は慌てて首を振った。

いやいや!もしそうだとしても、カンニングなんて男らしくないぞ児ノ原一也!ていうか、それは男女関係なく、全員やっちゃダメだろう!


しかし、「やっぱり赤ペン部分で丸をつけられた部分に学習範囲を絞っていれば…」と、俺は後悔した。そしてそんなことを考える自分がちょっと情けなくなり、「自分の力でやるのが当たり前なのだから」と自分を励まし、七割しか埋まっていない回答用紙を裏返して伏せた。