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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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「キコちゃんはちょっと小さい」〜出会い編〜

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「本物の湯船はこういう形じゃないぞ」と念のため言った方がいいのだろうかとは思ったが、なんだか彼女ががっかりしそうなのでやめておいた。


俺は石けんからナイフで小さい欠片を剥がして、マグカップに給湯器で温めた湯を入れる。ちょっと熱かったので水を足し、何度も指を突っ込んで温度を調整した。


「えーっと、これで熱くないかな。ちょっと手入れてみて」

俺にそう言われてキコちゃんがおそるおそるお湯に手を入れると、彼女はほわっと笑い、「あったかいです!」と喜んだ。

「お湯に浸かるんですよね、服が濡れちゃうから…」

そう言いながら、なんとキコちゃんはその場で服を脱ぎ始めた。

「わーっ!!待って待って!脱がないで!ダメ!ダメ!!」

俺は正気を失うかと思うくらいびっくりして、手で顔の前を覆った。

「えっ?ダメなんですか?」

キコちゃんの方をおそるおそる見ると、元通りきちんとワンピースを着ていたのでほっとして、彼女に次のように説明をした。


一、女の子は人前で急に服など脱いではいけないこと(女の子に限るわけではないけど)

二、服を脱ぐというのは、よほど気を許した人の前でないと、してはいけないこと(ここを詳しく説明するのはなんとなくやめた)

三、キコちゃんにはわからないルールが多分たくさんあるから、何かをしたくなった時、俺が近くにいたら聞いてみてほしいこと



これらを告げると、「わかりました…ごめんなさい…」と、キコちゃんは項垂れて謝った。俺はなんとなくキコちゃんに申し訳なさを感じながら、「謝ることはないよ。俺はシャワー浴びて来るから、ドア閉まったら脱いで平気だからね」と返した。

それから俺は風呂道具を持って、こちらに向かって手を振っているキコちゃんに仕方なく控えめに手を振り返し、廊下に出た。


あーびっくりした。心臓吐くかと思った。

それにしても…俺も「20センチしかない女の子だし」なんて思っておきながら、しっかり彼女を女性として認識していたんだな…。