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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI 5 たっぷり時間はあったのに

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「多分、明日の夕方頃かな」
「でもあたし、明日の晩は、みのりと約束あるからね」
「うん、大丈夫。俺は寝るから」
「そう、じゃ日曜はどうする?」
「日曜はコンクール締め切り日だから、完成品を本店に直接持ち込みに行く」
「ええ? 遠いじゃん」
「付いて来なくてもいいよ。絶対、あそこの店長とは長話するから」
「そうね。じゃ、月曜はちゃんと授業に来るようにー」
「分かってまー」
「じゃ、帰る」
「あ、待って、キスキス」
恵美莉は満面の笑顔で、床の部品を踏まないよう、ちょんちょん爪先歩きをして、首を伸ばしキスをした。
「もう口紅取れてるよ」
(え? やべぇ)

 春樹のワンルームマンションの玄関を出ると、恵美莉はその部屋のベランダを見上げた。
(放ったらかしにするから悪いんだからね)
ダウンジャケットのポケットからスマホを取り出すと、それを歩きながら操作した。


   SMS
   桧垣先生
   08032XX77XX


              [先生。まだ時間ある?]
                ✓20XX/12/08 18:40


 恵美莉はLINEではなく、デフォルトアプリのSMS(ショートメッセージサービス)を使用した。相手は桧垣助教授宛てである。そして暫く歩きながら返信を待った。歩いて行く先は駅ではなく、大学へ向かっていた。
 10分ほど歩いて、大学の近くまで来た頃、そのSMSに返信があった。