58の幻夢
49.会議録
「1,2,3,4,5,6,7。全員来ていますね。では会議を始めます」
「はーい」
「報告の順番は、今回司会である私の左の方からいきましょう」
「わかりました」
「では、まず、金曜さんお願いします」
「はい。少し前から、プレミアムフライデーっていうのを始めています」
「あー。そうでしたね」
「まだあまり浸透していませんが、何とか定着させていこうと思います」
「そうですね。時間はかかるかもしれませんが、頑張って下さい」
「次、土曜さん」
「えー、特に報告事項はないんですが」
「おや、そうですか」
「でも私、昔は半ドンやってましたし、今も週休二日がかなり定着しています。
ですので、金曜さんのプレミアムフライデー普及の
お手伝いが多少できるんじゃないかなと」
「おお、そうですね。情報交換したり、ノウハウとか教えてあげたり」
「はい。ぜひ力になりたいと思います」
「日曜さん」
「……実は、ちょっと困ったことがありまして」
「どうしました?」
「どうも夕方ぐらいから憂鬱になる人が増えていまして」
「あらら」
「さらに、その時間に放送してるアニメのタイトルがついた病名までできちゃ……」
「けっ! 日曜、てめえはまだいいよ」
「月曜さん、順番はまだです」
「でもよ、こんなのおとなしく聞いてられっかよ!
金曜や土曜は浮かれてるし、日曜はあの程度でビビってやがる」
「月曜さん、言い過ぎです。慎んでください」
「こっちはな、月曜である俺が嫌で線路に飛び出す奴までいるんだ。人が死んでんだぞ!
なんで、日曜の翌日ってだけでこんな嫌われなきゃいけないんだ。
金曜も土曜も楽しそうだけどよ、
休みが長くなればなるほど月曜の俺が嫌われていくんだよ!
もうやってらんねえよ!」
「……」
「今更誰かと入れ替わるなんてどうせできねえし。
誰も俺の気持ちなんて分かんねえんだ!」
「そんな事はない」
「あんだよ火曜。てめえだって他の奴らと同じだろ」
「いいや。例えば、振替休日やハッピーマンデーで、
月曜、お前自身が休みになった時を考えてみろ」
「……!」
「回数は多くない。だが俺だって同じ立場になることはあるんだ」
「で、でも」
「辛い事ばかり考えるな。良い事も考えろ。
例えばあの海賊のマンガとかが載ってる少年誌、いつ発売だ?」
「……月曜」
「続きを楽しみに頑張ってる人だっているだろ?
それに、月曜が休みのお店や施設だって決して少なくはないだろ?」
「……はい」
「月曜を楽しみにしてる人はちゃんといる。そんなヤケになるな」
「すんませんした」
「皆さん色々と苦労も多いと思いますが、協力して頑張っていきましょう。
じゃ、時間もないので私、木曜の報告は次回にして、
最後に水曜さん、手短にお願いします」
「そうですね。ほんと働くってのは大変なことだと思います。
でも、暦の概念ができて以来、ずっと働き続けている私たちが、
実は一番線路に飛び出したいですよね」
「はい。では、会議終了します」