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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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僕の弟、ハルキを探して<第二部>(改訂版)

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Episode.21 護る者








それからしばらく「ハルキ様」の声は民衆には伝えられず、おかしいと感じ始めた人たちが議会に集団で詰め寄ったりしていた。「あと少しでうちにも来るんだろうな」と考えているうちに、そろそろ一週間になる。僕はその日、彼女と夜を共に過ごしていた。

「不思議ですね」

白いシーツを花嫁のヴェールのようにかぶって体を包み、僕の隣に寝転ぶ彼女が、そう囁く。

「なにが?」

僕がそう聞くと、彼女はふふふと笑って、シーツの中から素肌の腕を出し、僕の頬を撫でた。その手の優しさを、僕はいつまでも感じていたい。

「こうしてこの世界に来なければ、多分、私とあなた、知り合うこともなかったから」

その時彼女は変わった。僕を真っすぐ見て、そして心をほどいてくれた。僕は彼女の手を取り、自分の頬に擦りつけた。嬉しくて。

闇の中に灯るロウソクの灯りだけがほのかに彼女の輪郭を照らしている。それは儚くて、すぐに消えてしまうのではないかと思ったから、僕は彼女に近寄って、その体を片腕で抱き締めた。

「…きっと、会ってたよ」

「え…?」

僕は胸がドキドキと高鳴って、今この時のために自分が生まれていたのだと思った。そんなことは初めてだった。

「会ったら、必ず好きになってた」

彼女が切なそうに眉を寄せ、僕の胸に顔を埋める。素肌に感じる彼女のくすぐったい細い髪が、彼女の何もかもが、愛おしかった。

「…わたしも」




次の朝、僕たちは同じ食卓で朝食を取っていた。ゆるやかに、もどかしく時間は流れ、愛の満ちた部屋は暖かかった。ダイニングには、彼女が作った美味しそうな朝食が並んでいる。

そこへ、突然僕が胸元に下げていた「子の石」がひときわ強く光り出した。彼女は慌てふためくような顔を一瞬見せたけど、僕は立ち上がる。

「見送りに…」

「戸口まででいいよ。必ず戻る」

僕は、精一杯不安そうな顔をした彼女を一瞬抱き締め、兵舎へと走った。でもその途中、道の向こうからロジャーが現れて、僕を見つけて叫ぶ。

「馬車に乗れ!こっちだ!」

煉瓦道を僕が走り抜けてロジャーについていき、目の前の路地を曲がると、ちょうど走っていた馬車に追いついた。街の人たちは兵士たちの乗った馬車を慌てて避けてから、「ご無事で!」と叫んだり、「頼んだぜ!」と励ましてくれたりした。ロジャーと僕は急いで馬車の荷台を掴んで、中に乗り込む。

「どういうこと!?僕を置いて行くつもりだったの!?」

僕がロジャーに聞こうとすると、馬を操る御者の隣で兵長が振り返って叫んだ。

「大群だ!大群が恐ろしい速さで迫ってる!お前を待っている暇がなかった!」

僕はぞっとして、それから下腹あたりが震えだすのを感じた。でも、そんなことは言ってられない。僕が諦めれば、全員が死ぬかもしれないんだ。僕は馬車の上で、防具だけを体に身に着けた。それはアイモが持って来て、僕に渡してくれた。