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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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運命のマスターとなるために(おしゃべりさんのひとり言 31)

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運命のマスターとなるために



コロナ禍で、暇な日に断捨離した人多いと思う。
僕もした。
たくさんの服を捨ててしまった。
でも、本ってなかなか捨てられないですよね。

壁一面の棚に、ずらーっと本が並んでる部屋ってかっこいいでしょ。
でもそんな部屋持ってない。
本棚一個くらいならあるけど、中身がスカスカになったら寂しいので、結局捨てずに古い本も入れたまま。
どんな本があるかって改めて確認したら、中学の時熱中した赤川次郎。大学の頃は英語の小説(所謂ペーパーバック)とか。

20代の頃よく読んだ、自己啓発本もいっぱいある。
本田宗一郎とか、松下幸之助、船井幸雄など、トップのお言葉的な内容の本。
成功哲学の『マーフィーの法則』なんか、若いころワクワクして吸収しようと思ってたな。
でも、今読んだらみんなバカらしい。
「こんなこと当たり前だろ」って内容ばっかり。
当時は何も知らないで、新しいことに挑戦してたから良かったけど、それらを実践して体験してきた今となっては、どの成功者達も同じことを言ってるんだと、つくづく思う。

その価値のない本棚の中に、ちょっと変わった本が一冊あった。
『運命の貴族となるために』
(原著)ジョン・マクドナルド
(翻訳)山川 紘矢、山川 亜希子
原題は『THE MESSAGE OF A MASTER』
直訳すると、『あるマスターのメッセージ』かな

そうそうこれ。購入当時は、(スピリチュアルな内容で、素人受けのいいい成功の法則論だな)って思っていた。
つまり、内容は眉唾物。しかも物語風に始まって、最後は何かの講義みたいになってる変な構成。
でも翻訳は尊敬する山川夫妻。
彼らはベストセラーの翻訳も多く手掛けていて、その和訳は原文が想像つかない絶妙な日本語。
(下手な翻訳家は、直訳の日本語になってることが多い。別れ際の”ENJOY!”を「楽しんで!」なんてセリフ、日本人は言わないでしょ。普通は「じゃあね!」とか)

それでこれ、薄い本の割には内容は面白いけど、読んだ時、ものすごい違和感を覚えた記憶があった。
山川夫妻の連名で翻訳ってことになってるのに、ちょっと日本語がたどたどしいんだ。
タイトルも仰々しいし、安い仕事だったのかなって思ってた。
(本気で出版する気があったのか?)って感じにさえ受け取れる。
調べてみたら『マスターの教え』って、タイトルだけ変更して再販されてたみたいだ。
こっちの方がちゃんとしてる。

もう25年位前の記憶だからね。ちょっと気になって読み直してみた。
あとがきに著者のジョン・マクドナルドなる人物が、いったいどこの誰か分らないって書いてある。
たまたま原作本を見付けた人が調べたところ、発行したカリフォルニア出版はもう無くなっていて、情報を得ることが出来なかったそうだけど、その内容に衝撃を受けて、再出版することにした本らしい。
ここに神秘的なものを感じさせるよね。
ジョンていう神様とか天使が降り立って、人類に知恵を授けていったとか、想像してしまう。

今も中古本なら、購入することはできるみたい。
でも『・・・貴族になるために』って言うタイトルの翻訳は、絶対におかしいと思う。
内容は、運命を自由に操れる紳士が、うだつの上がらない著者に手ほどきをして、大成功に導くってものだけど、この内容を実践すれば、あなたも必ずうまくいく! てな感じ。

僕は何度も繰り返して読んだな。
多分、30回は読んだと思うし、薄い本だから、人にも読みやすいからと勧めてた。
今読み返してみても、少し興奮する。
でも、その内容の陳腐さに、記憶から消えてしまっていた。

僕は現実に、人とはちょっと違う様々な経験を積んできたと思う。
本に出てくるような大袈裟な紳士ではないが、導いてくれるボスもいた。
ボスは超セレブだったけど、もちろん貴族ではないよ。
本の人物のように表現するなら、運命を自在に操る『マスター』だった。
まさしく運命のマスターで、ボスの言葉を思い出しながらこの本を読むと、すべてにおいてしっくり来るんだ。
まるで、(登場人物が僕たちなんじゃないか?)って思うくらいに。

作中の実践すべき事柄もほとんど全部やって来たし、意識して使えって紹介されてる単語もほとんど同じ。
(あれ? これに跡尋みながら人生を送って来たんじゃないか?)って思えてしまう。

結果、今僕は「人生で大成功」・・・・・・してないじゃん。
これじゃ『運命のマスターになるために』[亨利(ヘンリー)著]は出版できないな・・・。


     つづく