チャンス♪
「ごめん。葉月ねーちゃん!」
この期を逃さず、僕は謝る。
「もうしないから!!」
「許してあげても良いですど…お詫びに 何かしてもらわないとですねぇ」
葉月ねーちゃんは、立てた右手の人差しで、自分の唇を軽く叩いた。
「今日のデート中は、<葉月ねーちゃん>禁止──」
「え?!」
「これにしましょう」
「じゃあ…何て呼べば……」
「<葉月さん>でも<葉月ちゃん>でも<葉月>でも」
「─ じゃあ、葉月」
「なんですか、真一さん♪」
この呼び方も呼ばれ方も、何か体が こそばゆくなる。
慌てて僕は、釘を差した。
「これ、今日だけだからね!」
「え~」
「今日だけ!!」
「わ・か・り・ま・し・た♡」