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続・くらしの中で

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その二 金が無いを繰り返す人

 

世間にはお金の話題がいつも出る人がいるものだ。誰しもお金で生活をしているのだから大事だと思っているには違いないが、他人(ひと)前で口に出さないだけだ。

ところがだ。会えば必ず金の話題を持ち出し、何につけても、金が無いから買わないとか言う。暫く付き合っていると次第に要領がわかってきて、金の話が出そうな話をしないように気を遣っているが、ひょんな頃合いに又金の話が飛び出す。

或る時、南方面の山奧に滝があるので写真を撮りに連れて行ってあげたいと言ってくれたので、喜んで同伴した。帰りにはその地方で有名な硫黄温泉に寄ることも楽しみにして行った。

滝の写真を数枚撮り終わって、寄る所があるからと言われ、お墓に付いて行った。そういえばお彼岸が近いなと気が付いた。

そのお墓は三年前に亡くなったというご主人の為に建てた墓で、思いがけないほど立派なものだった。会社を息子に継がせて、今は楽隠居のその人はいつでも金のことを口にするけれど、金が無いどころかこんな立派なお墓を建てる財力を持ち合わせている人なんだと思った。

これからは買い物の話も値段がわかる店の名前を言うのを控えようと思っている。金金と言われるのは嫌なものである。


  完
作品名:続・くらしの中で 作家名:笹峰霧子