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続・くらしの中で

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その一 三人三様で楽しい



最近の世情では今まで話をしていた親しい間柄とも会えず独りで何かをしていたが、数日前から神戸に住む娘と高校生になった孫の三人でスマホのビデオチャットをするようになった。

あちらで長期間居たころでも辛口の娘の緩和剤となるのはまだおチビだった孫だった。今はもう高校生なので多分しっかりした自己形成が出来上がっていると思われる。
経験は三人共大幅に違うが、判断する能力は誰が優れているのかわからない。

三人三様と題したのは、孫と娘と自分の三人がそれぞれの愉しみ方を持っているという意味だ。

私は田舎に住み元々自然相手に生活をしていてそれを題材に句作をし、写真を撮るのが日課となっているが、加えて畑に花や野菜を少し植えて世話をするのも楽しい。
孫は今の所学業が本命であるけれど、文学や絵画に興味があるので私がしていることに関心を持って話し合える。俳句で使う古語の表現とか、百人一首のあの歌の言葉の流れが好きだとか。

一方一番威張っている娘の一番の関心はお金を貯めること。話といえばいくら貯まったとかいう話ばかりする。最近仮想通貨なるものが上がったというが私はチンプンカンプンだ。下がるよりは上がるのはうれしいことなので一言いいねと返事をするぐらいでおしまいになる。

私が、最近写真の対象として月を見るようになったといえば、孫は興味深く月の名前の話をする。一方娘は月なんぞ見てる暇ないわ、月を見たら金(貨)に見えるわとチャチを入れる。

どちらにしても三人が年相応の愉しみを持って暮らしているというのは幸せなことだ。


 
作品名:続・くらしの中で 作家名:笹峰霧子