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続・くらしの中で

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その三


その後数日経って、彼女の好きな友達が家に来るようになって「あの人は元気な時の友達よ」と言いながらも幸せそうな顔をしていた。
今度あの人と桜を見に行くことになってるのと言う。

ばあ様になっても、しかも同性で好き嫌いの位置付けをするかい?と私はいつも不思議な感覚になるのである。

災害の時は二階がある私宅へ避難させてねと依頼されている。もしそういう状況になったら私は彼女の世話をして共に頑張るだろうなと自分ながら可笑しくなる。

これって私は負け組なの?彼女は利用できることだけは頼みに来るという手を使って生きている人物。近所の奧さんも彼女のことを心配して畑を作ってあげていたが、お礼を受け取らない人なので、彼女は、ただでやってもらえて良いじゃないのと平然としている。

彼女はいつも言う。「わたしね知らない人から言われるの。島の生まれとは思えないって」「どこのご出身ですか?って」実に幸せな人だ。

ときどき野菜が沢山採れたときにはお裾分けするが、彼女は素直に喜んで受け取る。御礼はしないからというがそれはそれで良い。
彼女がそこに元気で住んでいて、好きな友達がやってきて遊んだり食べたりしているだけで。

足し算引き算で考える年でもなく、私も人に何かを上げたり世話したりすることで活力が出る。再々人に来宅されるとパソコンライフに支障が出るので一人で居る時間が必要だ。

人の出入りが多い彼女はいつも寂しいという。
なぜか私は寂しく思ったことはない。その理由は多分人に頼る気持ちがないのと全ての事に能動的に動くからだろう。

そういう意味では勝ち組とも思わないが負け組でないことは確かだ。


  完
作品名:続・くらしの中で 作家名:笹峰霧子