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続・くらしの中で

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その三


私は朝と夜の二回入浴するようになって何か月か過ぎた。
習慣になると朝風呂に入らないと一日が始まらないような気分だ。

夜の入浴時にはあれこれと思いが浮かび、或る時は俳句や詩を、又ある時は自分の行く末、現在の状況を考える。

夕べは知る人ひとりひとりのことを思い出していた。
あの人たちは今どうしているのか、を考えた時、過酷な状況になっている人が多いことに気が付いた。

特に詳しい情報を得ている人たちはほとんどが癌の手術をしている。
その経過はどうなんだろう、でも彼女たちには傍に家族がいる・・だがその家族も高齢で病気をしておりまるで老老介護だ。

ひとりでいると自分が一番みじめなような錯覚をすることがあるが、それぞれ苦しいことを乗り越えようと頑張っているんだなと思った。


私が家族のことで頑張ったのは、彼女らより少し若い時だったので心身共に頑張る元気があった。脳梗塞の夫は痴呆もあり大変な状況だったが、助けてくれる人も居ずいつもおどおどしていた。

その時ふたりの娘はまだ自立していなかったので先は見えなかった。何であのときを乗り越えられたんだろうと思うぐらい大変な思いをしていたことが蘇ってきた。

今は独り暮らしといえど、平穏だ。子供たちもすっかり大人になって私より強くなっている。可愛い孫も高校生になった。度々送られてくる孫娘とプードルの写真。今の生活に感謝を忘れてはいけない。


そう思いながら湯から上がり、録画していたドラマを観た後就寝したのである。



  完
作品名:続・くらしの中で 作家名:笹峰霧子