続・くらしの中で
他人の子供 その一
他人といっても親しく話せる人という意味なのだが、それでもお互いの子供のことを話すことはほとんどない。
今私と子供のことを話す他人が一人いる。
その他人とは、子供たちがお腹にいる時から付き合いがあって、先方は息子二人、私は娘二人である。
長女が先方の長男と同じ年で、次女が先方の次男と同じ年なので、幼稚園で一緒、小中は別だったが高校になり再び学力で組み分けされた勉強のクラスで一緒になった。
その時どちらも成績が下がる一方で話が合った。大学は幸いどちらも東京の六大学に入学することができたが、卒業するころになると就職のことで先方はやたら悩みをうちあけてきた。
私は娘の進路については干渉しなかったが、先方は色々心配していたようで、或る会社に勤めることになったと言い、それが何年間だったがよくわからない。
私達親は年齢は先方が八歳年下なので私は彼女が幼稚園に行っている頃にその母親が猫可愛がりしているのが可笑しかった。私はその母親をおばちゃんと呼んでいたが、おばちゃんは私の母をあねさんと言い親しんでいた。
そういう親の代も私の代も子供の代も繋がっているから、数年間は全く会うこともなかったが、ある時期ある時期に一緒になったときは昔話に花が咲く。
先方のおばちゃんは元々は百姓だったが、後には社長になり、わが市の女名士となって市会議員も親しんでいたようだ。
おばちゃんが亡くなってからは娘が社長になり、現在は息子も東京の仕事をやめて会社の仕事をしている。
おばちゃんは人に好かれて今のような会社を作り上げたが、娘も社長の座を引き継いでやっているのだから大したものだ。