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続・くらしの中で

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その二


女の何が凄いかといえば、身体の衰えと今までにないほどの攻撃性の両極端がどんどんひどくなっていることだ。脳は後ずさりする一方で、どんどん進化するのは攻撃性というのは本能丸出しということだろうか。


先日、数年前にあることで付き合いが切れていた人と電話で話をしていた。
電話したのは初めてではなく、付き合いが切れて三年間は会うこともなく音沙汰もわからなかったが、友人が見かけたというので懐かしいのもあって電話してみた。

その後何か月かに一回電話をしていたが、最初の二度ほどは付き合いが切れたときの鬱憤を再燃して文句を言い、気持ちの良い会話ではなかった。

それで電話するのをやめれば良かったのだが、長年の付き合いだったので三度、四度と電話をする内に何気ない話ができるようになっていた。ところが先日五度めの電話をしたとき、先方が六年前のことを持ち出しその時の怒りを又話し始めて、独り興奮して涙声になっている。

反論するのもめんどうなので私は何度も謝って聴いていた。

後でつらつら考えてみると、頭はぼろぼろで呆けてしもたと冗談ともつかないことを言ってるにしては凄い剣幕で怒るのが不思議な気がした。自分にも言い分もあったのだけど、それを言えば折角電話で話せるようになったのに又おかしなことになると思い何も反論もせず、うんうんと相槌を打って先方の話を聴くだけにとどめた。

それにしてもなー、年を取ってまだあの剣幕で人を攻撃するとは!と、もしや病気なのかしらんという疑念が起きた。
話して和合できない人と無理をして話すこともないのではないかとも思い、もう電話するのをやめようと決めた。

これはほんの一例だが、何方と話しても最初は身体の不調を訴え、暫くすると凄い剣幕でまくしたてる。これが衰えた人の言う言葉かと思うぐらい活性化しているのだ。

ドラマを見ても年を取った姑が激しい剣幕で嫁いびりをするシーンがあるが、こんな調子なんだろうなと思ったことだ。
年を取れば穏やかになり裏表なく他人と接し、丸く生きていきたいものだ。


  完
作品名:続・くらしの中で 作家名:笹峰霧子