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続・くらしの中で

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その三



その後私の家では母が亡くなり、夫は病気になって長い療養生活に入っていた。
夫は虚血性認知症の症状も出ていて大変な時期に入り14年間その状態で生き延びた。

或る時、下のお姉さんから東京の姉がマンションで倒れ病院で過ごすようになったとの話を聴いた。そのまま亡くなられるかもとの思いがしていたが、その数年後回復して再び同じマンションで一人住まいをしているとも聞いた。


下のお姉さんの話によると、姉妹でも境遇がどんどん違ってきているのを感じた。上のお姉さんには二人の息子、下のお姉さんには三人の息子がいる。

問題は息子のデキ、不デキの違いだ。
上のお姉さんは跡継ぎとして鳥取に在住していた。父から夫へ受け継いだ耳鼻科の個人病院を開業していたが、夫が亡くなって屋敷を売却して億単位のお金を一人占めされたようだ。東京にいる長男との同居を期待して一億相当のお金を建築費用に渡された。だが建築中に三階建ては禁じられているから同居はできないと息子に言われたとかで、今まで息子の家族が住んでいたマンションに住むことになったとの報告があった。しかもお姉さんが8万円もの家賃を払って住んでいるということだった。

息子は一億もの新築費用をもらっておきながら、母親が上京した半年間一度も訪ねて来ず淋しくて泣いていると電話でおっしゃっていた。
半年経ってやっと自分で電車に乗り継ぎ、教会に通うことができて、コーラスのグループにも入って知り合いができたと言われていた。


先日下のお姉さんから聞いたところによると、たまにしか息子は来ないとのことだ。嫁は一度も来たことがないのだそうだ。
私も親身になってお姉さんのことを心配し妹さんと一緒に怒り心頭して話をした。

作品名:続・くらしの中で 作家名:笹峰霧子