小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

【番外編】おしゃべりさんのひとり泣き ピッパの法則

INDEX|4ページ/5ページ|

次のページ前のページ
 

 この間も他のビジネスでうまくいっている方々が、アドバイスやサポートをしてくださいましたが、代わりにやってくれるわけではありません。会社員みたいな甘えは一切許されない環境での試行錯誤です。兎に角、自分に理解できなくても、成功者達の言うことを信じて、そのまま実践してみようと割り切りました。
 『本業』と『副業』という考え方は捨て、どちらも本業の『複業』という考え方にしました。二兎を追うものが、二兎を得ても悪くありません。一兎しか得られていない人に批判される程、バカなことはありません。二足のわらじは履けないのは当たり前ですが、スペアはいくらあってもいいはずです。
 そして、明確に目標を達成するように毎日集中しました。脇目も振らず、目標達成にのみ執着しました。
 おそらく一生のうちでアレほど一つの事に対して、自分を集中というか、努力というか、日本語ではあの時の状況を表現する言葉が見つからないほど、自分をその一点に向けさせたことはないでしょう。『本気でヤルしかない』の、『ヤル』でした。そして更に『ヤリ』まくりました。
 そしてようやく銀行員時代の月給より、多少多くの金額を手にできるようになりました。まだ最高でも2倍くらいでしたが。
 しかしそれは愚かにも、毎日同じことを淡々と積み重ねた努力の賜物に過ぎませんでした。
(何の努力を積み重ねたつもり?)だったのでしょうか。
 この頃の私は、まだ何も解っていない若造です。間違った方向に行動し始めていたのを、あの方が修正してくれました。

「年収1000万円になりたいでしょう? なら、そんなことをしていては絶対に1000万にはなりませんよ。どうしてか解りますか?
 世の中には1000万円稼ぎたいと思う人が大勢います。その人たちの目標を逆手に取ったビジネスも多くあるんです。ちょっとうまい話や、得しそうな話がね。そういったまやかしは大抵、1000万円稼げそうな話として作り上げられています。これに乗ってしまうと、もう少しというところまでは行くでしょうが、達成するために次々投資が必要になって、さほど利益にならないんです。会社っていうのも、それと同じ原理の中で給与設定されていますから、いくら頑張っても、ある程度までしか給料は伸ばしてもらえないでしょう。あなたがやってる仕事の掛け持ちも同じことですよ。
 時間給で計算しているうちは、絶対に1000万円の壁は越えられない。だってサラリーマンの時間給って、大体1000円~1500円じゃないですか。この設定は日本経済がこの水準で動いているからそうなってしまうんです。一日24時間、一年365日、不眠不休で働いたら、大体1000万円になるんですよ。これが上限です。世の中がそういうふうに仕組まれているんです。だから同じような収入を、二つの仕事に分けて得るなんて無意味なんです」
「と、言うことは・・・手広くやるより、効率的にやった方がいいってことですか?」
「掛け持ちするなら、1000万の壁を越えられるビジネスをいくつもやるべきです。だから一度1000万円を超えたビジネスオーナーは、すぐに2000万、3000万も達成できるんです。この稼ぎ方の違いを知っているかどうかなんですよ」

 つまり、販売にしろサービスにしろ、自分が行っていては1000万円以下の結果しか得られない。それを人にさせる元締めになるとか、何かの権利を人に貸すとかすれば1000万円を超えられる。誰にでも察しが付きそうな話だが、これを仕事にしてる人なんて、世の中に1%もいないらしい。自分がどっちの仕事を選択するかは自由なはずなのに、後者の仕事に巡り合うことなんてほとんどない。そんな簡単な違いを理解している人もほとんどいないのだ。
 頑張ってレジを打つコンビニオーナーが成功するはずがない。会社を経営しても社長が営業活動しているようじゃ、結局は自分頼み。病気でもしたら先行き不安になる。
 私自身そうでした。でもそれを超越できるビジネスなんて、そう簡単には思い付きやしない。そこであの方が、
「まず、自分一人でできることを極めてみなさい。そしてそれがお金になれば、それをやりたい人を探すのです。そんな人が現れたら、丁寧に自分がやってきたことを教えてあげる。そしてその人が稼げるようにしてあげるのです。そしてわずかなロイヤリティをもらう。それならできるでしょう。それを繰り返していけば、教えることもうまくなり、スピードアップして成長していくはずです。無限に収入は拡大し続けるんですよ。まずはこの基本を身に着けてください」

(人に出来ないことをするというのが、自分の強みになる)と思っていた当時の私には、受け入れがたい意見でした。これはお金を稼ぐ時のセオリーとは、逆な気がしていました。
 弁護士や医師のような資格は取得が難しい代わりに、そのあとの収入はいい。でも誰もができる仕事じゃないから、周囲の人が真似出来ない。結局弁護士や医師になっても、単価がいい労働収入でしかないということ。
『自分に出来て他人にも教えやすい仕事』これが最大のヒントなのか。自己の能力より、他人の能力を活かす仕事ってことなのか。つまりプロデューサーになれってことだ。より簡単なこと、誰でもできるようにを意識する必要がありました。
 それからの私は、単純な仕事を意識して探し、難しいことはより分かりやすく細分化し、それをこなす時、昨日と同じことをするのではなく、少しでも勢いを付けようと努力を続けると、速度(スピード)より、加速度(ペースアップ)を実感できるようになりました。

 生活面での変化としては、銀行を辞めて以降、タキシードを着る機会が多くなりました。いろんな成功者達と交流する機会も増えました。あの方は、私をよく遊びにも誘ってくれていました。私は基本的には、あの方の誘いは断らないことにしています。水準の高い人達に接することで、自らの基準値も上がっていくと思うからです。
 あの方はいつも一流の物に囲まれていました。成功したからそうしているのではなく、元々あの方の家族自体が、都道府県別の長者番付で一位になるほど、想像以上のお家柄だったのです。
 当時は個人情報観念が低い時代でしたので、納税額によるランキングが個人名で公表されていました。「週刊東洋経済」誌や、「週刊ダイヤモンド」誌に、毎年その名前がランキングで載っていたのです。

 私はあの方から漂う、一流の空気が心地いいのです。決して派手ではなく、いつも一流の物を選択するスタイルに憧れます。
 特に何の目的もなく、一流ホテルに宿泊だけすることなど、一見無駄に思える行為も、実際に一緒に体験するとそうでもなく、この空気に触れて一流の扱いを受ける事が、自分をリフレッシュするのにどれだけ意味のあることかを知りました。
 食事もそうです。常に一流の店で食べている人が、安い店を紹介してくれると、味や待遇に関してもハズレがないものです。しかし世の中には、単に安いだけの店を勧めてくる人も多くいます。たまに高い店に行って、良くなかったという感想を聞くことはよくあることです。でも、その店がどうこうというより、店に行った人がどのような扱いを受けるかは、その人の持つ雰囲気で変わります。