【番外編】おしゃべりさんのひとり泣き ピッパの法則
同時にメンバーとして参加されていた開業医の方と話している時に思い付いた、患者さんの治療中に洗車しておくサービスは好評でした。患者さんが駐車されれば、洗車の契約を取るんですが、現金の受け渡しをそこですると、任せたアルバイト作業員がネコババすることがあったので、洗車代を含めた金額を診察後の会計時に支払っていただくように工夫するなど、できる限りの知恵も絞りました。その結果、システム的に確立し、このビジネスを展開したいという有志を募ることもできましたし、医院だけでなく、美容院やレストランでも同じサービスが出来ました。そしてその売り上げの一部を、その店のオーナーに還元することで、多くの営業所を獲得出来ました。今もこのビジネスを継続されている方々から、発案者の私もロイヤリティを受け取っています。
当初これらのビジネスは、銀行に勤めながら同時に行っていました。つまり残業だらけの毎日で空いている時間は深夜と休日だけ。休む時間を惜しんで、そんなことに没頭していたので、睡眠時間がナポレオンと同じと言われました。それで友達を誘おうとすると、私の話はかなり怪しまれました。
「自分の時間が無くなる」という人は、パチンコばかりしていましたし、「俺にも計画がある」と言う人は決まって「3年後に実行する」と言います。皆「3年後」でした。でも3年経っても誰も変化しませんでした。次は5年後、8年後と期限を変えるのも皆同じでした。
「銀行員はサイドビジネスは禁止されている」とも言われましたが、もう一生銀行員でいるつもりなどなくなっていた私は、気にしませんでした。
「そんなビジネスは違法だ」とまで言う人もいましたが、(こっちはビジネスのプロ達のサポートを受けているのに、解ってないな)と思っていました。
若い頃の特徴として皆、チャンスが目の前にあるのに、どうしても私を『言い負かしたいだけ』の人が多かったです。
一方この頃には、初めに出会っていたヤンキーたちは消えていました。しかしその人たちの紹介先からも、代わりにまともな人がメンバーに加わってきて、ちゃんとしたビジネスになっていきました。やがてヤンキーのノリは落ち着き、変な輩は集まらなくなりました。
この傾向は重要な要素なのです。成功者にふさわしくない人は、チャンスに手を伸ばさず、あまり継続もせず自分から消えていきました。成功したい人は、それにふさわしく変化することに、抵抗を持たなかったのです。
本当に銀行を辞める必要などありませんでしたが、あの方が「早くうちに来い」と一年半言い続けてくださったので、私は決心しました。
支店長に退職を申し出て、その後の身の振り方を説明すると、「そんなものすぐ破綻するぞ」と怒られましたが、その後間もなく、その銀行が破綻し、行員達は散りぢりになってしまいました。人生とは分らないものです。
すべてがうまくいくはずなどないと分かっていますが、自分には運命が味方してくれているような気分を味わっていました。
そこで、あの方の言葉が印象に残っています。
「成功するのに必要な要素は、何だと思う?」
私は当時、何と答えていたか全く覚えていませんが、努力とか、才能とか、幼稚なことを言っていたに違いありません。
「大成功者とあなたとは、肉体的には何も変わらない。むしろそんなことは関係ないのです。例え、身体に障害があっても問題ない。必要なのは行動力と思われがちですが、間違った方向に行動しても意味がない。実は、成功するために必要なのは、成功者の考え方を自分の頭に入れ替えること。たったそれだけなのです。
あなたのその体を脳みそだけ成功者と交換すれば、すぐに成功できるように行動が変わる。今までの人間関係や、今の立場なんか関係ない。成功者は日々どうすれば成功できるかを考えています。その考え方には諦めなどなく、失敗しても途中でやり方を変えて、乗り越えられるように、只々、当たり前のように信じて継続するだけなのです。
成功の反対が失敗なのではなく、成功の途中にこそ失敗があり、成功の反対には諦めたり、行動をしない自分がいるだけだ。
今は成功者の考え方が理解できないのは仕方ありません。ただ信じて真似をしてみるだけでもいい。プラス思考でいようと思う人はたくさんいますが、本当にその意味を理解している人は僅かでしょう。プラス思考という言葉を知っているだけで、毎日実践している人は少ないし、その効果を実感できている人など、世の中にほとんどいません。
ただ成功者は皆、とんでもないプラス発想なんです。だから、プラス思考を真似てみるところから始めてみればいい。
まわりで何が起こってもラッキー。あなたが諦めさえしなければ、あなたはいつか必ず、成功というゴールにたどり着けますから」
その話には、目から鱗でした。今となっては、私の考え方の基本となる部分ですが、当時はそんなこと考えもしなかったのです。
(自分は必ずうまくいく)(何をしてもやり遂げられる)それ以降、そんな大それた考え方が当たり前になりました。何かをやり遂げたり、達成したことがある人なら、当たり前の知恵なのでしょう。
オリンピック選手や、チャンピオンの言葉には重みがあります。「いい事言うなぁ」それだけで聞き流していた言葉も、それ以来、納得し同意できるようになりました。そういう人達のエピソードには、常識では理解できないような行動があって、それらを面白おかしく紹介するTV番組などもありますが、プラス思考の成功者からすれば、何も不思議なことではないのでしょう。
あの方から聞いた話は、成功するために、もっとも重要な知恵であると、今も信じています。
しかし、このビジネスは、あの方の会社に就職するというものとは違います。自分自身でビジネスを成功させて、自ら収入を得る必要があるのです。決しておいしい話ではなかったことがお判りでしょうか?
それからの私は、あの方やその他の成功者たちのアドバイスに従い、確実に目標をぶれさせないようにしました。うまくいかない時、焦ってしまう時もたくさんあったのですが、あの知恵を知っていれば、やっぱりダメなんじゃないかと投げ出してしまうことはなかったのです。
「今はうまく行っていなくても、必ずどこかで辻褄が合うはず。いつかはやり遂げられるはず」そう信じることが出来、スピードは遅くとも前進できるようになりました。
しかし、なかなか結果が出ない時期、周囲から冷たい態度を取られたりすることもあって、意地のような心境になることもありました。
(もっと大きな金額を稼ぎたい)(権利的に入り続ける収入が欲しい)このように思っても、なかなかうまくいきません。なので、いくつかの仕事を掛け持ちでやることにしました。
そこで私は、本業と副業の両立の難しさを実感しました。片方をがんばるともう片方が下がり始め、それを補おうとすると、やはりもう一方が下がるのです。
「二兎を追うもの一兎をも得ず。二足のわらじは・・・・」そんな言葉がよくささやかれます。どっちが大事かを、もう一度考える必要がありました。
作品名:【番外編】おしゃべりさんのひとり泣き ピッパの法則 作家名:亨利(ヘンリー)