シロアリバスターズ
手順3 うまいお金の使わせ方
「まず、消毒代金なんですが」
植村は、単刀直入にこう切り出す。もったいぶって金額を最後に言うと、(やっぱり高い)と思われてしまうので、最初に打ち明けることにしているのだ。
「いい加減な見積もりではなくて、国の指針に従って大体の定価が決まってるんです。それは国土交通省が管轄していて・・・」
「国土交通省ですか?」
「ええ、確かに変ですよね。ゴキブリとかネズミの駆除は衛生管理の厚生労働省なんですけど、シロアリは建物被害なんで国交省です。そこが一平米あたり約三千円を基準にしてるんで、一坪だと約一万円になります」
「床面積で計算するんですか?」
「ええ、でも総床面積じゃないですよ。建坪だけです。消毒するメインは地面ですから」
「地面を消毒?」
「シロアリって柱の中に住んでるんじゃないんですよ。地面の下にバスケットボールくらいから、大きいものだと直径1メートルくらいの巣を作るんです。そこから毎日、餌を食べに上がって来てるだけです」
「どうやって巣を退治するんですか?」
「直接退治は不可能です。どこにあるかも調べようがありませんから。だからまず、柱から上がって来たシロアリを退治するために、柱にドリルで30センチ間隔くらいに穴を開けます。そこから薬剤をコンプレッサーで注入するんです。これでトンネル状に食べられてしまった木材は、全部内部から消毒出来ます。その後、床下すべての木材という木材、床板の裏まで薬剤を噴霧します。これでもう木を食べることは出来なくなります」
「結構面倒な作業ですね。床より上の被害はどうするんですか?」