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八九三の女

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[お茶会]



裏街の奥路地、その日本家屋はある
雑居ビル群に囲まれた日本庭園を有する屋敷は今や家主を失い
憩う者は去り、訪れる者も居ず
年に数回、業者が屋敷と庭の手入れに来るだけだ

家主の書斎、納戸の奥深く
その縫い包みは仲良しの友達が来るのを今か今かと待ち侘びている

私の長い耳をしゃぶり
私の白い頬に顔を埋めて
私の丸い手を弄ぶ、そんな友達が愛おしくて堪らない

今でも二人で笑っているのだろうか
今でも一人で泣いているのだろうか

今でも私を、と今日も今日とて
友達の大好きな甘いお茶を用意して今か今かと待ち侘びている

おしまい
作品名:八九三の女 作家名:七星瓢虫