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Cuttysark 『精霊』前/直後。

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 いや、今カティサークの身に起こったようにそのまま急に切られている可能性もある。
 ガイボルグに自分のことを注視してもらうようにお願いして、二人で進んでゆく。
 暫く進むと、嫌な光景に出くわした。

(今日は何て日なんだろうか)

 頭の片隅で思う。
 情報をとられた後なのか、既にそんなものは必要なくなって急に切りつけられたのか。
 傍の木陰には血まみれの男。
 息はある。
 手当てをした。
 手には血まみれのカタナ。
 血油で切れ味などなくなっている。
 周囲にはおびただしい気配。
「カティ、大丈夫か?!」
 今日だけで何度名前を呼ばれて、どれくらい心配させただろうか。
 木陰に置いた男は発見時大分危なかった。
 一撃でとどめを刺されなかったのは、そこにカティサークとガイボルグが滑り込んだからだ。
 カティサーク自身あまり使用したくなかったのだが、魔法で男が旅立つのを引き止めた。
 苦しそうではあるが呼吸がしっかりしているのは確認した。
 引き換えに、囲まれたのにもかかわらずカティサーク自身の動きが急激に鈍くなった。先ほどまでと段違いに体が重い。
 ガイボルグ一人ならばどうにかなるかもしれないが、こんな状態のカティサークと意識も無いけが人がいては危ないだろう。
「応援が来てくれるはずだ、気張れよカティ!」
 ガイボルグの言葉が気休めなのか真実なのかはわからない。
 ただ「お前だけでも逃げろ」という言葉を発してはいけないのだけ分かった。
 そんなことを言えば、ムキになってでもガイボルグは此処にとどまるだろう。
「!」
 そうやって、ギリギリで攻撃を受けていたが、無理が出てきた。
 倒れている男にとどめを刺そうと振り上げられた剣に気づいたカティサークが一瞬ガイボルグの傍を離れてた。
「カティッ!!!」
 男に向かった剣戟を止めることは成功したが…

ザシュゥッ!

 嫌な音が聞こえた。
 前の敵が一瞬ひるんだ隙に、相手の腕へ剣を付きたて、そのまま反転して背後に一撃を浴びせる。
 殆ど反射の動きだった。
 背後の敵が切れ味のなくなったはずのカティサークの剣に斬られて倒れる。
 カティサークの視界もぐらりと傾いた。
 いつもながら、実践になるとさらに凄みを増すガイボルグが、周囲の向かってきた敵を一掃してこちらに足を踏み出してくるのが分かった。
「っ!」
 傾きつつも、先程剣を突き立てた者の気配がする。まだ動けるらしい。
 感覚だけで剣を振るった。
 手に感触は…殆ど感じなかった。
 地面が近づいてくるのが妙にゆっ来るに感じた。

「カティィィッッ!!」

 ガイボルグの悲鳴のような声が聞こえて………