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小さなみどりの宇宙人 マゲーロ1

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 「あいつだってぼくらに協力しちゃたんだからばれたら共犯でまずいんじゃ
 ないの?第一、やつは人間を連れてきたことで報奨金もらうはずだから、黙
 ってるしかないよね。知りません、で通すしかないんじゃないの」
 そういえばそうだな。
 「お、ハカセがお目覚めになるぞ」
 コピータカがふたをあけ、ベルトをはずしてやると、ハカセはぼーっとしたまま立ち上がり、目をつぶったまま突っ立っていた。
 「さ、ぼくたちはここから入れ替わるよ。手をだして。地上でのミッションを伝えるから」
 コピータカは小声でそう言ってぼくの手をとった。ぼくの頭の中に一瞬ににしてこのコロニーの情報が流れ込んできた。すごいや。
 「きみは受けるほうも送るほうもできるの?」
 「そう。そもそもぼくはきみだからね。同じもの同士の交換は楽勝なんだ」
 ああ、なんだかよくわからないけど、まあいいや。
 「おい、弟たち、手をつなぐんだ。それぞれやるべきことを教えてあげるから」コピータカはアキヒコ、コピーアキヒコそれぞれに情報をうつしてるらしい。
 「さ、このハカセがはっきり目覚めたら、入れ替わった演技をするんだよ」
 
 こうしてぼくら人間のほうのタカアキとアキヒコはまんまと入れ替わって地上に戻ってきた。
 変換装置のある出入り口を通過して外に出たときは、本来の人間の大きさになっていた。夕方になっていたが、なんとか暗くなる前に家に帰ることができ、
辛うじて夕飯に間に合ったため、とりあえず叱られずにすんだ。
 
 ぼくらとコピーたちの連絡係りはマゲーロが買って出た。ぼくらの事情を知っているものとしてお互いバレたらまずいわけだし、他のものにやらせるわけにはいかないだろうさ。マゲーロはぼくらのおかげでたいそう儲かったうえ、階級が上がったそうだし。
 ぼくとしては宇宙人の知り合いができて、宇宙人の居住区に出入りできる、場合によってはコピーくんたちと入れ替わることもできる、なんてサイコーだ。
 ご飯を食べながら思わずにやついてしまった。
 「なんか嬉しそうねえ。今日あんなに遅くまで何して遊んでたのよ」
 お母さんが不審げに見た。
  ぼくはちょっとびくっとしてしまった。あいつらとぼくらの秘密なんだ。疑いを持たれるのはやばい。
 でも、
「宇宙人ごっこだよー」
 アキヒコの間延びした答えに
 「へえ、あんたたちはそういうのが好きよねえ。子供はそんな遊びに夢中になれていいわねえ」
お母さんはすぐ興味を失って、お父さんとテレビの話をしだした。
 幼稚園児の発言を大人はたわごとだとしか思わないからね。
 そもそもすべては目ざといいたずらっ子のアキヒコのおかげだよ。
 ぼくは思わずハンバーグをほおばる弟の頭をなでてやった。
 「また遊ぼうな」
 アキヒコも嬉しそうににっこりした。            (おしまい)