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悩める熟年世代、VRゲームにハマる!

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清十郎
「強制ログアウトされないのは、仲間さんにトラブルでもあったのでしょうか」

寺井
「そんな筈は無いと思うんだよな、3人に、頼んだし」

清十郎
「実は以前にこのゲームで、特別なシナリオが展開されて、清十郎の息子役のキャラがログアウト不能になった事あります」

寺井
「それは俺も覚えてる」

清十郎
「なぜ、寺井さんが知ってるの?」

寺井
「あの時、俺もそのストーリーに出演してた。元ヤクザという設定の役をゲームでやってて、清一というプレイヤーと行動を共にしてて、人口削減政策をする政府の陰謀を暴こうとしたり、宇宙人と戦ったりしてた。俺は清一の事を団長とか師匠と呼んだりして、かなり親しみを持ち尊敬してた。清十郎ともその世界で出会ってる。ほら、宇宙戦争しようって時に俺も居たでしょ?」

清十郎
「あの時の物語は、ただの幻ではなくて、皆で記憶を共有して繋がってた?? 」



寺井
「俺は魔法図書館で清十郎を初めて見たとき、清十郎を知ってる顔だと思ったし、清一の事も知ってるつもりだったから、知らない振りをしてる清十郎にイラっとしてたんだが……」

清十郎
「私はあの時の、寺井さんの顔に見覚えがありませんでした。でも何故か分からないけど、今は思い出せます」

寺井
「多分、ゲームを再開するに際して脳の記憶を書き換えられたのだろうな。初対面の設定なのに互いに昔から知り合ってたらストーリーの辻褄が合わなくなるから。俺自身、今まで深くは気にしないで済んだが、、それは感情をゲームに操作されていたからかも……」

清十郎
「じゃあ、清一や竹内さんも、体験した事なのかな?」

寺井
「どうだろうか……ないとは言えないし、そうだと断言もしにくい。俺らの配役が、たまたま同じ世界観のシナリオに合致しただけ、ということもある。」

清十郎
「寺井さんは、その世界で清十郎の事をどれくらい知っているのですか? 清十郎は宇宙人との戦いのとき、寺井さんに出会いました。」

寺井
「俺もそうだな、宇宙人との戦いの少し前に政府に殺されて魂を宇宙人の再生装置で人間に戻してもらって、その時に清十郎に出会った。だけどその前に清一と記憶を共有する技、以心伝心(※ヤクザ小説のシーズン2にて登場したチート技。ゴーストに魔法のマント乗せてテレパシーのトレーニングをさせるとプレイヤー同士で記憶の共有ができる様になる)で清一の人生を知り、親としての清十郎を既に知ってた。」




清十郎
「既に? 清十郎を、知っていた……? なら清十郎の自宅の住所等は分かりますか?」

寺井
「ゲームの世界だったけど、清一の家までは行ったよ? 確か住所は……」

寺井の言った住所は清十郎の自宅の住所だった。つまり清一も同じシナリオの中にいて、政府と戦ったりカーチェイスしたり、清十郎と一緒に海へ酸素ボンベを背負って飛び込んだ。つまり清一にも、その記憶があるはず。

最近は清一とのマシな思い出が無かったら、共有できる記憶があってうれしい。と思う反面、共有してる事実を清一が気付いてないのが、寂しくもある。マシンガンで政府と戦うとかスリリングな体験だったし、あの思い出を酒の肴にして、清一と語り合ったら、楽しいに違いないだろう。
清十郎は切なくなってきた


清十郎
「寺井さん、もしかして、わたし達は永遠にこの世界に閉じ込められたのでしょうか……、あの時のシナリオではVRの世界は実はゲームではなくて、魂を異世界に飛ばして、その世界をゲームの電脳世界であるかの様にプレイヤーを騙していました。このゲームも実はゲームではなくて、異世界だったら……」

要するに清十郎は魂が肉体から切り離されたからログアウトできないと思っている。この世界で死ねば魂が壊れて、現実世界の自分の、体には戻れない。もしかしたら、もう肉体自体は死んでいて、魂だけの存在として、異世界に存在しているのかもしれない。


寺井
「ここが異世界かゲームの世界か、考えても真実は分からないが、もし異世界だとしても俺たちは、これまで現実世界と繋がれていたんだから、これから先の未来で繋がる可能性だってある。どっちにせよ、この世界で生きていけるなら、現実世界と繋がるチャンスがあり続ける事になる。もし今の体か魂だとしても、衣食の必要も排泄の必要もない、とても便利な体ですよ?」

寺井は清十郎を前向きにしようとしている。寺井は以心伝心(ヤクザ小説を参照)で清一の記憶にある清十郎の歴史を知ってる。清十郎は寺井をあまり知らないが、寺井は清一が知る清十郎を全て知っている。寺井にとっては清十郎を知り過ぎていて、もはや他人には思えない

寺井
「上手く言えないし、赤の他人に言われたくないだろうけど、俺は清十郎さんを、親の様に思ってるんだ」

清十郎
「親?」

寺井
「家庭の事情でさ、俺は親のことを殆ど覚えてないんだ。記憶がないから、親ってどういうものか分からなかったけど、清一が、どういうものか教えてくれた。清一の親父さんが、たまたま清十郎さんだったというだけで、きっと清十郎さんでなくても俺は構わなかったと思う。ても、だとしても俺にとっては清一も清十郎さんも家族みたいなものなんだ……」

清十郎は寺井の言葉が難し過ぎて、半分も理解できていない。

寺井は言うべきか迷っていた。
寺井は自衛隊の振りをして清十郎と清一を助けに行った。それだけ清一も清十郎も寺井にとって、大きな存在であるということを伝えたい。
だけど寺井は駆けつけるのが遅かった。もっと早く駆けつける事ができていれば、清一も清十郎も傷つかなくて済だから。
このログアウトできない世界に危険を承知で来たのも、清十郎が意識不明で病院に担ぎ込まれていたからだ。


清十郎
「寺井さん、どうして泣いているんです?」

寺井は慌てるように涙を拭った。
「あ、いやこれは、」
寺井は、この世界で清十郎を一人にしたくなかった。、でも助ける術がないまま勢いでやってきてしまった。


(どうにもなりません! 貴方も私も死にました!)なんてキツイ真実を寺井が言えるわけない。


清十郎
「ちょと、何時まで泣いているの? 寺井さんが言う通り、外の世界と一生繋がれないと決まった訳じゃないのだから、諦めちゃだめだよね。さっき寺井さんが、自分で前向き発言してたのに、泣いてるのは違うでしょうよ?」

寺井は、もしかしたら何かの脱出の術があって、肉体が腐敗する前にログアウトすれはを、魂が戻り、生き返れるのではと考ていた。

清十郎「そう言えば清十郎のゴーストは何処へやら?

いつもはログインすると自動で傍にテレポートしてくる仕組みであった。テレポートが使えない世界になって、ゴーストが召喚されないのかもしれない。

寺井
「清十郎さん、まずはゴーストを探しましょう。

清十郎
「?」

寺井
「以前のシナリオで清一は物知りゴーストに出会って世界の真相を暴きました。そのゴーストなら助かる方法を知っているかもしれない」

清十郎の記憶だと、そのゴーストは清十郎達の仲間であるゴーストの事であった。ゴーストはそのシナリオについて知っているのだろうか。

寺井