悩める熟年世代、VRゲームにハマる!
「一応、仕事とかあるんで、その課題はムリです」
丁重にお断りする清十郎。大会の日も仕事と重なるかもしれないから、出られるかわからない。
散々説明したから寺井のショックはとてもおおきいぞ
清十郎
「代わりにゴーストを大会に出すつもりなのだけど、反射神経の練習はゴーストもできる?」
寺井は今まで、モンスターの反射神経の成長性の有無について考えたことがなかった。
モンスターはプレイヤーとのコミュニケーションか下手であり、複雑な言語を理解できないから何かを教えるのが難しい。。
ゴーストは例外的に会話の空気を読むのが上手いが、とはいえ所詮はモンスターである。寺井はモンスターの反射神経を成長できるものとは認識してなかった。清十郎に指摘されて初めて意識した。
「やってみないとわからない」
寺井自身も、清十郎のゴーストがどう成長するのか興味があった。
「清十郎、少しの間にゴーストを預からせてくれないか?」
寺井はゴーストの特訓を申し出たのだった。
【後書き】
〜ゴースト視点〜
ゴーストは寺井が苦手だった。幽霊屋敷での一件(リンチ)は寺井の幻がやったことであり寺井は悪くない、と思っているがリンチされた思い出は残ってる訳で寺井を見ると、つい嫌な思い出が蘇る。
清十郎の心の中を見るに、寺井と自分が仲良しになるのを望んでいる。仲良しになれば清十郎に喜んで貰えるかもしれない。
ゴーストは勇気を振り絞り、寺井の訓練を引き受けるのであった……
------------------------- 第38部分開始 -------------------------
【サブタイトル】
ゴーストの訓練
【本文】
ゴーストの反射神経を鍛える為
寺井はまずゴーストの素早さを極限まで下げる魔法をかけた。
見えないゴーストを可視化するため、うさぎの着ぐるみを被せ
ムチで叩き始めた
寺井のゴーストに対する扱いは酷かった
ゴーストは痛くて逃げようとしたけど、素早さが無さすぎて逃げられない
助けを呼びたくても、清十郎達は仕事中で居ないし
ゴーストは寺井の攻撃を避けるべく、頑張るしかなかった。
》休憩中《
以前からゴーストは不思議に思ってたことがある。寺井の心がちっとも読めない。たぶん何かの魔法で心を読む力をうばったのかもしれない。
寺井は「そうしないと反射神経を鍛える練習にならない」と言っていたが、しかし寺井に初めて出会ったときから、寺井の心は見えなかった。心が無いのかと思ったけど、そういえば安井の心も見えなかった。
(寺井さんの心が覗けないのはなぜですか?)
寺井
「心を読まれるというのは、多くの人にとっては恥ずかしい事なんだ。人間社会ではプライバシー保護というルールがあり、だから本人の許可なく、みだりに心を覗いてはいけないのだよ?」
(ぷらいばしー?)
と、
いわれてもゴーストは意味が解らなかった。何を聞いたら
解るのかも、わからない。
あとで清十郎か竹内にでも聞いてみようと思うゴーストだった。
〜休憩がおわり〜
ゴーストは最初はイヤイヤで、ムチで打たれる訓練も苦しかったゴーストだが、次第に世界がスローで見えたり、時の止まった世界を動ける不思議感にゴーストは愉しさを感じて、自分から訓練に熱中する様になった。
途中から寺井は、攻撃自動ロボットを使い、それに任せた。
ゴーストは大会まで、黙々と訓練した。大会までは2ヶ月あり、ゴーストが反射神経を鍛えた時間は6000時間を超えた。
誰も見てないところで黙々と練習したので誰も知らないが、ゴーストは未来を10秒先まで見える様になった。
ゴースト自身、それが凄いのかそうでないのか分かっていなくて、その凄さに気付くのは、寺井との模擬戦をしたときにハッキリする
模擬戦直後
寺井の連続テレポートを駆使しての四方八方攻撃がまったく当たりもしない。
ゴーストは壁抜けの技が使えるので、それで攻撃がすり抜けて当たらないだけかと思った寺井だが、うさぎの着ぐるみを被せているので、実体は確かにそこにある。
反射神経が向上しているだけで、ゴーストの素早さ自体は、あまり変わっていない。物理的に寺井の0速度のテレポート攻撃を避けるのはできない筈で……
では何故ゴーストは寺井の攻撃を避けられるのか、
ゴーストは寺井にウサギの幻覚を見せているだけだった。寺井はゴーストの実体に目がけて攻撃していない。
ゴーストは対戦開始の10秒前に寺井の卑怯とも言える高速攻撃を見た。絶対に目視してからでは避けられない乱舞攻撃をされて、一方的にボコボコにされる未来を見た。
試合直前、ゴーストは自分に似せたウサギ着ぐるみの幻覚を生み出して、自分とすり替えた。幻覚の真後ろに隠れ、そのまま寺井の目線の高さまで幻と共に上昇し、そのまま幻だけその場に残し後ずりして、寺井の視界に入らない距離まで逃げた。
寺井が初歩的な幻覚に惑わされてる姿を見てたゴーストは笑いを堪えるのに必死だった。
テレパシーで『コッチダヨ』
と伝えて、ようやく気付いた寺井。
寺井
「なんだ、最初から隠れてたのか〜、痛くない剣だから大丈夫なのに」
ゴースト
(だって、あんなの避けるの絶対無理だし)
寺井
「 なるほど……まさか未来まで見えるなんて、驚きだ!
この時の寺井の顔は笑顔だったのだが、ゴーストは寺井の心が読めない。それがどういう意味での笑顔なのか、人間でないゴーストには解るはずがなかった……
------------------------- 第39部分開始 -------------------------
【サブタイトル】
『幽霊屋敷の真実』
【本文】
幽霊屋敷に入ったプレイヤーは記憶を失ってしまう。屋敷の真相を暴くのはプレイヤーが屋敷に入らないのが正解
レベルの低い低級ゴースト、及びレベルの低いプレイヤーは気付けないが、幽霊屋敷は、そもそもそれがゴーストである。
その事に気付くことが、クリアの第一条件になる。
例えばゴーストが鍛錬を積み、テレパシーで心を読む力を鍛えていたら、幽霊屋敷の声が聞こえる様になる。幽霊屋敷の声に従って進むとゴールだが、ゴールに近づく殆、幽霊屋敷の声が大きくなり、その声の波動(テレパシーの波動攻撃)が強すぎてゴールに、たどり着けなくなる。 つまり屋敷はテレパシーの波動でゴーストを攻撃してきて、ゴールするのを邪魔してくる。
ゴーストはそのテレパシー波動の攻撃を封じ込める技(逆波動のテレパシーを出して打ち消す)を使えないと、ゴールには辿りつけない。
その逆波動のテレパシーの存在に気付いて能力として身に付ける事こそが、屋敷の秘密を暴いた際の報酬である。
報酬特典としてゴーストは逆波動のテレパシーを出せば心を読まれない。例えばゴーストが敵のゴーストに襲われたら、互いに見えない存在なので、テレパシーで心を探り合い、互の位置を把握して争う。その際、敵に向けて逆波動のテレパシーを使えば心が読まれないから、闘いを有利に進められる。
この隠しイベントの達成率はとても低い。
作品名:悩める熟年世代、VRゲームにハマる! 作家名:西中