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悩める熟年世代、VRゲームにハマる!

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野次馬の一人と目の合った3人。
近づいてくる

何か文句を言われるかと思ったけど、

「西中と言います。実は私も似たような悩みがありまして…。良かったら仲間になって頂けませんか?」

その人は チャット通信で清十郎に会話を求めてきた。
声を出せば近くにいる野次馬に、からかわれかねないので、ヒッソリとコンタクトをとってきた。
清十郎たち3人が深刻そうな顔をしていたのを見て、もしやと思い、目が合ったそう。

西中さんは清十郎たちを自宅(プライベート空間)に招待し、お茶菓子を出してくれた。




------------------------- 第33部分開始 -------------------------
【サブタイトル】
西中さん

【本文】
西中さんは、娘の事で悩んでるらしい。小学生の6年の子が、一年ほど前から、ずる休みする様になって、部屋に閉じこもる様になったという。いまでは不登校になっていて、3ヶ月、学校には行ってないそう。
 学校でイジメにあったのは判るそうで、対処したけれど、そのイジメの問題が親が原因であるから、困り果てていいるという。

 西中さんの職業は酪農家で、いわゆる命を扱う仕事で、保護者の中にベジタリアンがいて、その息子が娘さんに
「お前の親は動物の命を奪うキチガイだ」
 と言ったそうで、それ自体はイジメとして学校側も取り合ってくれたけど、家庭の環境としては、『動物の命を奪う事実』は、変わらないわけで、娘さんは受け入れきれなかった。

 西中さんは、最近になって、職業を変えようかと真剣に悩んでいるが、夫側とその両親が、乗り気ではなく、もし辞めるなら離婚して出ていってくれと言われたらしい。

 娘が病んでる件は夫も理解はしているが、親には逆らえず、温度差を感じるそうで

 これまでは酪農で牛の世話をすることは、誰かの為になるからと、誇り持って続けられたけと、よくよく考えてみれば
 産んでくれと頼んでもないのに産ませて結果的に殺す訳だから、、自分がそんなことされたら嫌な訳で

 離婚してもいいから、娘の為に仕事を変えたい、西中さんはそう思ったけど、娘にとっては、西中さん一人が仕事を辞めたとしても家業は続くから、結局変わらないのではないか。離婚しても娘の状況(屠殺文化)が変わる訳でもないのだから、娘の親権はやらない。お姑さんが、そのような態度をしていて、夫もそれを黙認しているらしい。
 娘を引き取れないのなら、離婚しても無意味で、どうしたらいいのか、
 娘に聞いても部屋から顔を見せることなく「離婚すればいい」「私はここに残る。稼ぎのないお母さんに着いていくのは怖い」
 と、言われたらしい。
 そんな状態でも夫は見て見ぬ振りをしていて、「いつかわかってくれるさ」と放任主義を決め込んでる。学がなくても家業は継げるし、不登校でも問題ない。そう夫は考えていて……


 西中の話を一通り聞いた清十郎たち。
 どうアドバイスしていいか、わからず

 西中さんは
「わかっています。解決方法は私がまず離婚して、それなりの稼ぎを得て娘を引き取ること。もし夫の家業より稼げたら、堂々と辞めさせられる理由になる。その時、娘は自分についてきてくれるのだと思います」

 西中さんは、一通り身の上話をしたあと、心の準備ができたそうで

 離婚する覚悟を決めてログアウトした。

 西中さんが、去る直前、
「もし娘を見つけたら遊び相手をしてやってください」と言い、娘のアカウントIDを教えてくれた。娘が昔、「一緒にこのゲームをやろう」と教えてくれたが、今はメッセージを送っても見てないか無視しているらしい。
 ゲームでは指定したプレイヤーからのメッセージをブロックできる機能がある。ブロックされた相手はブロックしてきた相手がゲーム内の何処にいるのか、わからなくなるから会おうと思っても、会うのは困難になるらしい。



 西中さんは当初、娘さんに何か気の効くメッセージでも思いつければと、清十郎たち相談して、清十郎経由で娘さんに言葉を届けようと思ってたらしい。だけど身の上話をしていたら、心の整理がついて、方針を変えたのだ。




 今、清十郎の手元には、西中さんから貰った引きこもりのアカウントIDがある。
 もしかしたら、娘さんは、引きこもりのプレイヤー友達がいて、その中に清十郎の息子もいるかもしれない。

 しかし、娘さんは、清十郎達を知らない。初対面の相手からいきなりメッセージを貰っても警戒するに違いない


 まずは娘さんの身辺を探る必要がある。
 ナビゲーションシステムを開き、娘さんのアカウントを入力して、検索にかけた。画面に娘さんが公開してるプロフィールとコメントが表示され、居場所の座標も表示された。


 娘さんは今、アンドロイド都市ギガロポリスにいる。そこでロボットキャラを育てているそうで、

 清十郎達、熟年チームは、テレポートスポットを使い行ってみた。


------------------------- 第34部分開始 -------------------------
【サブタイトル】
アンドロイド都市ギガロポリスで

【本文】
アンドロイド都市というだけあって、街並みは機械的で、空には透明感ある道があり、その道をなぞる様にタイヤのない車が走っている。

車を運転しているのはNPC(プログラムのキャラ)で、高度な擬似人口知能を持ち、電脳世界での衣食住と経済活動をする様にプログラムされている。NPC(アンドロイド)は人間と同じ様に出産し、家族を作り会社に行くし、テレビや映画も見る。プレイヤーはこの世界で手続きを踏めば、性別を変えられたり、出産したり、アンドロイドと恋愛結婚したりと、壮大なオママゴトを魔法科学という概念により出来るようになっている



「なるほど」
清十郎のナビゲーションシステムが疑問に答えてくれた。

魔法技術の恩恵か、街並みは、空の上の方に続いていて、上に行くほど、広くて大きな建造物がそびえる。また空に浮かぶ街のせいで下の都市に影ができる事もない。

清十郎たちはその下側の街にいて、その下にも街はある。
下の世界は工場が建ち並び煙突から黒い煙が出ている。煙といっても魔法的な煙なのか大気に拡散しても空気は変わらない。美味しい空気である。

工場街の下にもまだ街は続いているようで、よく見ると底(地面)が見えない。都市全体が雲の上に浮いている。

西中さんから貰ったアカウントから娘さんの位置する座標は分かっている。
娘さんは清十郎達が今いる場所の直ぐ下の工場都市のどこかにいる様である

道なりに進めば、たどり着けるらしいが、距離的に、車が必要だ。

清十郎たちの前に一台の車が止まった。
誰も乗っていないが、ナビが自由に使っていいと説明してきた。
街を巡回する無人レンタカーであり、運転は自由にしても良いし、自動運転で好きな所に連れて行ってくれる。運賃50ギニである

50ギニはリアル世界の通貨価値でいうと5000円である。
この件に関して金持ちは安井が無言で入金した。
支払いが済んだ事すら清十郎は気付いていない。