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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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馨の結婚(第一部)(1~18)

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僕はチーズバーガーを頼み、園山さんはチキンカツバーガーを頼んだ。そして、なんとサイドメニューのオニオンリングアンドポテトフライを、Lサイズにしてもらっていた。

「いただきまーす!」

園山さんはチキンカツバーガーの包みを開け、トレーに敷かれた紙の上にフライを開けて、ぱくぱくと食べ始める。

「いただきます」

僕も、チーズバーガーの包みを開けて、お茶の入った紙カップの蓋にストローを刺した。



生まれて初めての、チーズバーガー。両手で食べ物を抱えてかぶりついたのなんて、どのくらい前だろう。ああ、こんなに美味しかったのか。



友達と食べてるからかな、家での食事とは違って胸がわくわくしてきて、いくらでも食べられそうな気がしてくる。



でも、僕は食が細い方だ。というか、そうらしい。自分では、「もう満足したから充分な量だ」、としか思わないけど。

そして、どうやら園山さんはたくさん食べても平気なようだ。

彼女はさっきから片手にチキンカツバーガーを持って、それを一口かじって飲みこんでから、オニオンリングをつまんで、またバーガー、そしてポテトと、元気よく食べている。

僕がチーズバーガーを食べ終わってからも、園山さんは残ったフライドポテトを食べていた。



顔中を笑顔にして、美味しそうにポテトを二本同時に口に放り込む園山さんは、まるで子供が食事をしているようで、かわいかった。



「美味しそうに食べますね」

思わずそう言ってしまうと、園山さんは急に焦ってポテトを飲み込んだ。

「あ、すみません、はしたないところを…」

「いえいえ、かわいらしい、という意味ですから」

「えっ…」

僕の言ったことに、園山さんは本当に驚いて、顔を真っ赤にしていた。そして、ちょっと俯いて顔を逸らす。

何か僕はおかしなことを言っただろうか。かわいらしい食べ方だと思ったから、そう言っただけなんだけどな。そう思って僕は氷の入ったお茶をストローでかき混ぜ、一口飲んで喉を潤した。

「あの、変なことを言っちゃったなら、すみません…」

なんとなくそう謝ると、園山さんは「大丈夫ですよ」と言ってくれたけど、長い睫毛は伏せられたままだった。

「あっ、それで…このあと、どうしますか?」

園山さんは顔を上げて、なぜか慌てたようにそう言う。

「えーと、そうですね…」

そういえば僕たちは食事が終わってしまったんだ。どうしようかな。そう思って僕は考え込む。

僕は他にも行きたいところはあったけど、園山さんが僕に合わせてばかりでは申し訳ないかなと思って、僕は聞き返してみた。

「園山さんは、どこか行きたいところとか、ないんですか?」

すると園山さんは僕を大きな目で見つめてから、俯いて顎に手を当てて悩んでいたけど、「じゃあ…次は、私の行きたいところでも構いませんか?」と言った。僕はもちろん、「そうしてください」と言う。

「ちょっと遠いんですけど…」

「大丈夫ですよ。じゃあもう行きましょう」



僕達は立ち上がって、バーガー屋を後にした。