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ヤマト航海日誌2

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上坂すみれが去年にラジオで「『戦争と平和』はインフルエンザにでもならなければ読まない」と言った次の週にインフルエンザで数日寝込んだ。それが去年のインフルエンザの重症者であり、今年のコロナの重症者はそれと何も変わらない。インフルエンザで去年に千人死んでいても当たり前のことなのに今年にコロナで千人死ぬと「危機だ危機だ」とわめきたてる。バカだ。おれにはそうとしか思えん。この日本ではみんなが感染した方がいいのだからマスクは外した方がいい。

そうすりゃ身体が抗体を作ってみんなが免疫を持てる。今いるコロナが変異して猛毒型が生まれても、外国から猛毒型が入ってきてもなんともないことになり、結局は多くの老人を護れる。それが正しい状況分析じゃあねえのか。

おれにはそうとしか思えないんですがねえ。しかしこんなこと来年に誰でも言うようになるとしても、今ここに書くのはなかなかできんだろう。『端数報告』に書いた齋藤勝裕なんてな学者先生が、滅亡の危機だなんだと言ってたりする状況じゃあ。

しかしあいつが本に書くのはひとつ残らず嘘であるのが確かだから、おれが正しいのが確かなのだ。学者と言ってもウイルスの専門家でもなんでもないやつがコロナの禍が始まって一ヵ月後にもう出しているような本に正しい情報が書いてあるはずがない。これも『端数報告』に書いたことだが大槻ケンヂは悪徳弁護士・遠藤誠との対談で、


   *


大槻「やぁー、びっくりしちゃった。そういえば、毒薬といえば、最近、松本のサリン事件とかありましたよね。で、その松本毒ガス事件でもうひとつボク面白いなあと思ったのが、歴然と、マスコミや警察が、Kさんでしたっけ? あの人を犯人に仕立てようとしてましたね」

遠藤「してました」

大槻「あれ、ボクが見てもわかりましたよ。だって、何か真犯人として逮捕状が出たとか、らしいとか、どんどん報道がそういう風になっていくんだもん。あの人の家が画面に映った時、誰だかわかんないおじさんが映ったんですよ。で、レポーターの人が「この人がKさんです」って言ったんだけど、そのすぐ後に「あの人は、全然関係ない人でした」とか適当なんですよ。どんどんどんどん犯人をKさんにしていこうとしてるのが見えて、「怖いなぁ、これは」と思いましたね」


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なんて話をしてる。まあたいしたもんだ。この対談は地下鉄サリンの少し前に行われたものらしく、マスコミはまだこのKさんを犯人扱いしてたんじゃないかな。おれの手元に久保博司・著『日本警察』(講談社)という本があり、事件から3年後の97年に出たものだが、「松本サリン事件の教訓」という章があってこう書かれる。


   *


田坂興亜・国際基督教大学準教授は、「農薬から合成してサリンをつくるというのは、東京から横浜へ行くのに新潟を経由して行くようなもので化学構造的に不可能」と雑誌にコメントしている。


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と。つまり事件の通報者Kさんの家に農薬があったからサリンの犯人とされてしまったという話だが、このように「不可能」と言う学者もいた。しかし、


   *


「どこで合成されたにしろ、サリンは比較的簡単にできます」(筑波大学N教授)
「別のものをつくろうとしてサリンがごく微量にできたのかも知れない。たとえば使用禁止されているパチオンという農薬は、サリンに非常に近い化学式です」(大阪大学S教授)
「サリンの製造は、精製するのは難しいが、不純物の多いものであれば比較的簡単です。今回つくった人はサリンそのものを知らなかった可能性もあるのです」(神奈川大学T教授)


   *


なんていい加減なことを言う学者が大半だったようだ。そんな連中が、

「犯罪のことはわからなくても化学のことならわかります」

なんてヘラヘラと笑いながら偉そうな顔で言っていた。「帝銀事件の毒は青酸ニトリール」だと言う齋藤勝裕がこの手のひとりであるのに疑いの余地はなく、今にコロナの危機を叫ぶ学者もみんな同類に決まってる。

こういうやつらに世間は踊らされてるんじゃねえのか。というのがおれがここで言いたいことだったのだが、それにしてもずいぶんと長い話になったな。とにかく、これで話は終わり。それではまた。書くかどうかわかりませんが。



作品名:ヤマト航海日誌2 作家名:島田信之