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ヤマト航海日誌2

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2020.10.13 後からならばなんとでも言える



久しぶりの投稿である。って言うか、久しぶりに日誌を更新しようとしたら、

《申し訳ございません。このページに到達できません
https://novelist.jp/work_edit.php?work_id=71614 の Web ページに問題が発生しているか、新しい Web アドレスに完全に移動された可能性があります。》

なんていうのが出やがってさ。更新できませんでした。というわけで新しく〈本〉をここに出すことにします。おれもすっかり忘れていたが、おれは前回「楽天コボの『コート・イン・ジ・アクト』はいずれ値上げし、以後は絶対に下げない」と書いて終えていたんだね。その言葉の通りに値上げしました。決して下げません。これ以上にしないうちにお買い求めください。

さて、前回の更新時に前の日誌の被アクセス回数は確か11000くらいで、8ヵ月後の今に14000か。しかしおれは既にブログ発表の場を〈楽天〉に変えており、そちらがメインになることになります。左の〈プロフィール〉から〈ホームページ〉の欄に貼ったリンクを押すか、次のアドレスをバナーに入れてやってください。
https://plaza.rakuten.co.jp/tashousuhohkoku/

ではどうして今これを書いているか。帝銀事件の平沢貞通は事件直後から家族と建築中の家を置いて北海道にひとりで渡り、平塚八兵衛に捕まるまでの7ヶ月間隠れるように暮らしていた。平沢がその7ヶ月に何をしていたかと言うと、何もしていなかった。おれはこの8ヵ月間にその平沢が犯人だというブログをやって、最近それを〈粧説〉として書き始めたところなんだが、今日にこの日誌を書くのはその挨拶の意味があるのと、この8ヵ月特にここに書きたいこともなかったけれどついこないだ出来たもんで、書こう書こう、でもってこれを最終投稿とすることにしようと思い立ったわけなのさ。

どうせデータ分量が900キロバイトを超えていて、あと何回も更新できなかったからね。けれどもこれが第一投稿になっちまったな。どうしよう。まあ気が向いたらまた書きます。

で、さて話は簡単だ。ケーブルTVでこのあいだ、『アルキメデスの大戦』てえ映画をやってさ。見たんだ。おれが。何ひとつ期待しないで「どうせダメだろ」と思いながら。でも戦艦大和の映画っていうじゃん。しょうがねえじゃん。だから見た。見たけど、ああ、山崎貴。『永遠の0』そのまんま。あの野比のび太と同じ理由で何もかもがまるでダメじゃん。

ねえのび太君。キミはどうして、同じことを繰り返すの。これはエンターテインメントじゃないよね。『永遠の0』が百田尚樹という作家の未来人セワシ君への叫びだったと同じように、ええとこれは、なんか知らんがなんとかいうマンガ家が、

「ドラえも〜ん、戦艦じゃなく空母ぉ〜」

という泣き言をマンガに描いていたものなんだろ。それはエンターテインメントにならんよ。やる前にわからんのか。ただCGで〈大和〉を描いて、ドーンと沈むところを見せたい。それだけで映画を作ってるのか。キミっていう人はほんとに……。

わかった。おれが教えてやるからちょっとそこに座りなさい、というので8ヵ月ぶりにこれを更新するのである。『わが青春のアルキメデス』は、話が始まると山本56が出てきて「これからの戦争は空母だ。戦艦なんか要らん」と言う。

それが真珠湾攻撃の9年前だって。しかし大艦巨砲主義者に「飛行機? あんなペラペラしたもんすぐ撃ち墜とされてしまうわ」と言われる。

当たり前だ。その頃の飛行機はまだ木と布で出来ていて、時速200キロも出ない。銀色をしているのは銀色の防水塗料が塗ってあるだけ。海の上ではクレー射撃のマトでしかない。「5年後には性能が上がる」なんて言っても「だったら5年後に来いよ」と言われるのが当然で、「これからの戦(いくさ)は」「これからの戦は」とただ言うだけじゃしょうがない。

それじゃ誰も納得させられないだろう。けれども山本56は「これからの戦は」と言うだけなのだ。演じる舘ひろしには「これからは空母だ。戦艦なんか要らん。飛行機の性能は5年後に上がる」というセリフだけ120分間に350回ほどあるが、他にほとんどセリフがない。

その後の海戦は確かに空母が主体になり、戦艦はすたれる。けれどもなぜそうなるかの具体的な説明がない。舘ひろしは
「これからは空母だ。戦艦なんか要らん。飛行機の性能は5年後に上がる」
「これからは空母だ。戦艦なんか要らん。飛行機の性能は5年後に上がる」
とただ繰り返すだけなのだ。

なぜか? たぶん、舘ひろしに聞いても、

「さあ。脚本に書いてることをただ読んだだけだから」

と応えるのではないだろうか。「監督に聞かなかったんですか」と聞いても、

「聞いたよ。そしたら『だって舘さん、その後は空母が主体になったじゃないですか。飛行機の性能は5年後上がってるでしょう』と言われただけだった」

とか。山崎貴はなぜその後は空母になるか知ってるつもりでいるけれど実はわかってないんじゃねえのか? たぶん、この『アルキメデス』っていうマンガの原作を描いているやつも。

おれが見ていてそんな印象を受けるのだが、なぜ戦艦がダメでその後は空母になるか聞かれて君はその理由をちゃんと人にわかるよう説明することができますか。

おれはできる。って言うか、既にしている。それも6年も前に。おれの『敵中1 セントエルモの灯』の「クレセント・サターン」の回にこう書いた。


   *


大艦巨砲主義――この思想は旧戦艦〈大和〉の時代はまったくナンセンスなものとなっていた。〈大和〉の艦尾にあった二基のカタパルトは、観測機を飛ばすためのものである。『観測機ってなんだ? 何を観測するんだ?』という疑問をお持ちになった方がいるなら説明しよう。撃った砲弾がどこに落ちたか観測するのだ。船から撃たれた46センチ砲弾は、ドーンと飛んで40キロも離れたところに落ちてドカンと炸裂する。しかしそれは地球の丸みの向こうにあって船から見えない。雲があったり霧が出てたりしても見えない。だから飛行機を目標の上にまで飛ばして、『1キロも右にそれたぞーっ、左を狙えーっ』と報告させる。けれども船は絶えず波に揺れているのだ。いつまでやっても当たるわけない。そうこうするうち観測機は敵に撃墜されてしまってハテサテこれからどうしましょう。

お分かりだろう。船に大砲を積むよりも、飛行機隊に爆弾持たせて送り出した方がいいのだ。


   *


ね。これが、たぶんいちばん誰にでもわかる簡単なその説明だ。もっともその後、


   *


〈大和〉を造った造船技師達は、出来たその日にご満悦の海軍幕僚らに向かって言った。命令だから造ることは造りましたがこの船はなんの役にも立ちません。砲台なんかとっぱらって空母に改装した方がいいんじゃないですか。


   *

作品名:ヤマト航海日誌2 作家名:島田信之