読めるか?
「ほーこーらー」
獣道をかき分けながら、おらは裏山を登る。
「おら、大きな湖のある、カサナの街に 行ってきたぞ。」
「─ 見たのか?」
「沢山食べたし、泳いでるのも見てきた!」
「── では、石版を読んでくれ」
祠に近づいたおらは、文字を読んだ。
「サカナ」
声に出した瞬間に、石版は砕け、祠は崩れた。
「汝のお陰で、封印は解かれた。礼を言う」
もうもうと上がる、砂煙。
その中を、天空に上がる気配がおらに告げた。
「何れ汝には、改めて恩を返す。だがそれは、雲上界に登り、あのたわけ者に思い知らせた後じゃ!」