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明日からずっと……。(掌編集~今月のイラスト~)

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 カボチャ団子が甘いことは見た瞬間に覚悟したよ、これまでの流れからして、醤油で味付けしてあるとは思えない。
「オレンジの果汁を練り込んだの、コロッケも茶色だからメリハリをつけようと思って」
 甘い味付け確定だ……だが、まだコロッケがある、まずは小さいジャックから退治して行くことにしよう。
 思った通り甘かった……オレンジ果汁は確かに効いていて酸味も感じられるのが救いだったが……。
「このコロッケも手作りなの?」
「うん、ちょっと普通のコロッケとは違うから食べてみて」
 ……まさか……いや、しかし甘いコロッケなど食べたことがない、そんなものがこの世に存在するはずが……。
「ジャガイモじゃなくてサツマイモをマッシュしたの、お砂糖を入れてスィートポテトにして」
 彼女が嬉しそうに言うので、僕も笑顔を返した……ひきつった笑顔になっていないことを願うばかりだ……。

 帰りの電車、彼女は『ちょっと眠たくなっちゃった……』と言って僕の肩に頭を預けてぐっすり……きっと、うんと早起きして腕によりをかけて弁当を作ってくれたに違いないと思うと愛おしさが募る。
 ペアの小さなおにぎりを包んだお稲荷さんやハート型の卵焼き……きっと彼女も僕のことを……そう考えれば全部甘かった弁当も、あれはあれで良かった……とも思う。
 帰りに例の吊り橋でもう一度手を繋いだ時、『明日からはあなたの分もお弁当作って行くね、これからは毎日ずっと……』って言ってくれた……し……。
 
 こりゃ、明日から早起きしてジョギングぐらいしないといけないかもな、彼女の弁当で太るわけには行かないもんなぁ……。