引き篭りニートの親、VRゲームにハマる
「寺井さん、もしかして、わたし達は永遠にこの世界に閉じ込められたのでしょうか……、あの時はVRの世界は実はゲームではなくて、魂を異世界に飛ばして、その世界をゲームの電脳世界であるかの様にプレイヤーを騙していました。このゲームもやはりゲームではなくて、異世界なのでしょうか……」
寺井
「ここが異世界かゲームの世界か、考えても真実は分からないが、もし異世界だとしても俺たちは、これまで現実世界と繋がれていたんだから、これから先の未来で繋がる可能性だってある。どっちにせよ、この世界で生きていけるなら、現実世界と繋がるチャンスがあり続ける事になる。もし今の体か魂のみだとしても、衣食の必要も排泄の必要もない、とても便利な体ですよ? 」
寺井は清十郎を慰めたかった。
「上手く言えないし、赤の他人に言われたくないだろうけど、俺は清十郎さんを、親の様に思ってるんだ。」
「親?」
「家庭の事情でさ、俺は親のことを殆ど覚えてないんだ。記憶がないから、親ってどういうものか分からなかったけど、清一が、どういうものか教えてくれた。清一の親父さんが、たまたま清十郎さんだったというだけで、きっと清十郎さんでなくても俺は構わなかったと思う。、だとしても俺にとっては清一も清十郎さんも家族みたいなものなんだ……」
清十郎は少し困惑した。
確かに寺井と自分は少なからずの関係はあるだろうが、親や家族と思われる殆親密になった覚えはない。何故、寺井はその様な思いをしているのだろうか、清十郎は疑問した。
寺井は清十郎の困惑を察した。
そして寺井は言うべきか迷っていた。
寺井は自衛隊の振りをして清十郎と清一を助けに行った。それだけ清一も清十郎も寺井にとって、大きな存在であるということを伝えたい。
だけど寺井は駆けつけるのが遅かった。もっと早く駆けつける事ができていれば、清一も清十郎も傷つかなくて済だから。
このログアウトできない世界に危険を承知で来たのも、清十郎が意識不明で病院に担ぎ込まれていたからだった。だからこそ、伝えるのは難しいと思った。寺井の存在を重いものだと思われたく無かった。
寺井は清十郎の全く知らないところで、清十郎の事をあたかも親の様に認識する様になっていた。清一の事も家族、兄弟かの様に思う様になっていた。寺井には特別な事情があった…
第1章
〜清一に武器等を渡した寺井(ヤクザ)な回想視点〜
一話
ヤクザ的にはさ、麻薬を売らなきゃいけないわけ。VRで遊んで仕事をおそろかにしたら、いけなんですよ?
麻薬が売れないと怒られるから、ついついVRしたくなるし、VRを我慢したらイライラするから麻薬使いたくなるし、で、仕事の合間、お手軽に吸引できる麻薬をやるでしょ? ヤクザならこの気持ち分かってもらえると思うのだが……
俺は今ね、VRゲーム(仮想現実)の中でもプレイヤー仲間に愚痴をこぼしてんねん。
ついでに覚醒剤でキマってるから、仮想現実の中でもラリってますねん。
ゲーム仲間はそういうヤクザな人がニガテなカタギだから、友達解約してくのな。
俺が馬鹿なのは分かってるつもり。でも、まさか覚醒剤使ってゲームやったら思考回路がこんなにもグダグダにかるなんて、説明書にでも書いといて欲しかった。唯一のゲーム友達無くしてしもうたから、凄く寂しい。喪失感で一杯やねん、
そんなオレが、ある日、ヤクザの頭に呼び出されて、
「お前ん、VRやっとる言うとったなあ?」
もしかして、ゲームのこと(仕事さぼり)で、また怒られるんかなと思ってたら
「VRの中で覚醒剤は売れるんか?」
「はい?」
「だから、VRネットゲームあるやろ? そこをヤクの密売の拠点にするんや。なあ、できるやろ?」
確かにやろうと思えばできる。仕事しながらVRできるなら言うことないし、
「できます!」
「そうかそうか! 良く言った! じゃあ、おまえ、難しい○○組の頭になれ。そこの組員、自由につかってええけぇのう!」
「ちょ!」
唐突過ぎて話が見えない。俺がヤクザの頭だって?
サラリーマンでいったら、課長クラスが、いきなり社長クラスに昇進する様なものだぞ
○○組は小さいとはいえ、組員は30人もいる。
○○組員は本家より構成員が少ないもののの現場で最前線にいる兵隊であり、
血の気が多いやつらの集まりである。それをオレがまとめないといけない。
ちなみに○○組は反社会的勢力で表向きには存在しない事になっている。一応、表向きに存在している○○組はオンライン検索すると出てくるが、それとは全く異なる非合法組織である。このオレが所属する事になる組員達は、表に存在している○○組構成員の名前をコードネームとして使用する。警察等にマークされた際に少しでも捜査を撹乱する為に他のヤクザ組織を利用する。
いざとなったら、ヤクザと警察、両方と敵対しないといけなくなる為、ハイリスクな暴力団組織になる。そんなハイリスクな組を任されても全然うれしくない。
「おい! 返事をせんかい! ちゃんと聞いとんのか我(われ)は!」
「はっ! はい! もちろんやります! かしら張らせていただいます!」
勢いで返事をしてしまった。
「ほな、さっそく取り掛かってくれ、組の方にはもう連絡しといたけえのう」
「あの、一つよろしいですか?」
「なんや、まだあるんか?」
「はい、頭の件について原の兄貴は、なんと言っているでしょうか?」
原の兄貴=原誠司は誰よりも任侠的で上下関係に厳しい
「あ、そういうことか、お前(ま)ん、肝っ玉が小さいのう! そもそもコレ、原自身の提案だから大丈夫や」
???
どういう事だ?
なぜ兄貴分が舎弟みたいな立場になる必要が?
「ええから、お前ん、はよ行ってこい! 後のことは、腹に聞けばええから!」
「おお、よく来た」
原の兄貴は、いたって笑顔でした。
「あ、の、」
「どうしたんや?かしこまって?」
「どうして、俺なんですか? しかも兄貴が舎弟みたいな立場にどうして? 」
「それか…俺なヤクザ辞めてカタギになろうと思ってな」
「カタギって…」
原の兄貴=原誠司は、ヤクザという立場を捨てて芸能界に行きたいのだそう。兄弟分を引き連れて漫才や落語やって一発当てたいらしい
「本気で言ってるんですか?」
「そうや、なんかへんか?」
確かに、社長が部下に仕事任せて自由人になろうとするケースはよくある話
その場合は会長とか顧問という形である程度は会社に関わるもので、関わらなくても株式等は持ってたりで株の配当金等で不労所得を得てたりする。
いろんな意味でヤクザの組織も完全引退はない
つまり組のシノギのいくらか、継続的に払え!ということだろうな
「お、物分かりがええな。せやから、後のことは任す。組のことはマサシと相談して上手くやってくれな」
マサシというのはここの係長みたいたもので、今回の件で部長クラスに昇進したはずだから悪い気はしてないはず
そしてオレが社長だから
やあ、マサシくん、よろしくね。
作品名:引き篭りニートの親、VRゲームにハマる 作家名:西中