引き篭りニートの親、VRゲームにハマる
ゴーストは最初はイヤイヤで、ムチで打たれる訓練も苦しかったゴーストだが、次第に世界がスローで見えたり、時の止まった世界を動ける不思議感にゴーストは愉しさを感じて、自分から訓練に熱中する様になった。
途中から寺井は、攻撃自動ロボットを使い、それに任せた。
ゴーストは大会まで、黙々と訓練した。大会までは2ヶ月あり、ゴーストが反射神経を鍛えた時間は6000時間を超えた。
誰も見てないところで黙々と練習したので誰も知らないが、ゴーストは未来を10秒先まで見える様になった。
ゴースト自身、それが凄いのかそうでないのか分かっていなくて、その凄さに気付くのは、寺井との模擬戦をしたときにハッキリする
模擬戦直後
寺井の連続テレポートを駆使しての四方八方攻撃がまったく当たりもしない。
ゴーストは壁抜けの技が使えるので、それで攻撃がすり抜けて当たらないだけかと思った寺井だが、うさぎの着ぐるみを被せているので、実体は確かにそこにある。
反射神経が向上しているだけで、ゴーストの素早さ自体は、あまり変わっていない。物理的に寺井の0速度のテレポート攻撃を避けるのはできない筈で……
では何故ゴーストは寺井の攻撃を避けられるのか、
ゴーストは寺井にウサギの幻覚を見せているだけだった。寺井はゴーストの実体に目がけて攻撃していない。
ゴーストは対戦開始の10秒前に寺井の卑怯とも言える高速攻撃を見た。絶対に目視してからでは避けられない乱舞攻撃をされて、一方的にボコボコにされる未来を見た。
試合直前、ゴーストは自分に似せたウサギ着ぐるみの幻覚を生み出して、自分とすり替えた。幻覚の真後ろに隠れ、そのまま寺井の目線の高さまで幻と共に上昇し、そのまま幻だけその場に残し後ずりして、寺井の視界に入らない距離まで逃げた。
寺井が初歩的な幻覚に惑わされてる姿を見てたゴーストは笑いを堪えるのに必死だった。
テレパシーで『コッチダヨ』
と伝えて、ようやく気付いた寺井。
寺井
「なんだ、最初から隠れてたのか〜、痛くない剣だから大丈夫なのに」
ゴースト
(だって、あんなの避けるの絶対無理だし)
寺井
「 なるほど……まさか未来まで見えるなんて、驚きだ!
この時の寺井の顔は笑顔だったのだが、ゴーストは寺井の心が読めない。それがどういう意味での笑顔なのか、人間でないゴーストには解るはずがなかった……
◆
〜幽霊屋敷の真実〜
【幽霊屋敷の秘密について解き明かしたプレイヤーがいない】
この一文はプレイヤーを騙す嘘であり、それ自体すら幽霊屋敷の秘密として組み込まれている。
クリア者が居ないと思わせて大勢のプレイヤーを騙す事にこそ価値があり、クリアしたプレイヤーは誰にも真相を語らない仕組みが働いている
幽霊屋敷をクリアする方法は以下になる。
幽霊屋敷に入ったプレイヤーは記憶を失ってしまう。屋敷の真相を暴くのはプレイヤーが屋敷に入らないのが正解
レベルの低い低級ゴースト、及びレベルの低いプレイヤーは気付けないが、幽霊屋敷は、そもそもそれがゴーストである。
その事に気付くことが、クリアの第一条件になる。
例えばゴーストが鍛錬を積み、テレパシーで心を読む力を鍛えていたら、幽霊屋敷の声が聞こえる様になる。幽霊屋敷の声に従って進むとゴールだがゴールに近づく殆、幽霊屋敷の声が大きくなり、その声の波動(テレパシーの波動攻撃)が強すぎてゴールに、たどり着けなくなる。 つまり屋敷はテレパシーの波動でゴーストを攻撃してきて、ゴールするのを邪魔してくる。
ゴーストはそのテレパシー波動の攻撃を封じ込める技(逆波動のテレパシーを出して打ち消す)を使えないと、ゴールには辿りつけない。
その逆波動のテレパシーの存在に気付いて能力として身に付ける事こそが、屋敷の秘密を暴いた際の報酬である。
報酬特典としてゴーストは逆波動のテレパシーを出せば心を読まれない。例えばゴーストが敵のゴーストに襲われたら、互いに見えない存在なので、テレパシーで心を探り合い、互の位置を把握して争う。その際、敵に向けて逆波動のテレパシーを使えば心が読まれないから、闘いを有利に進められる。
この隠しイベントの達成率はとても低い。
まずゴーストがテレパシーを波動だと解釈するのが難しい。なのでゴースト一人でその力をコントロールするのは不可能に近い。
またプレイヤーがゲーム参加すると記憶喪失になるから、プレイヤーがゴーストにアドバイスするのも難しい。
クリアするには、屋敷外にて主(あるじ)に屋敷内で起きた手がかり(テレパシー波動)なりの疑問ぶつけて、主とのコミュニケーションを密にしていく必要ある。その際、主に推理力や思考力、会話力が足りないと、ゴーストの隠された能力である逆テレパシーの技術を引き出す事はできない。
幽霊屋敷はレベルの非常に高いイベントなので、攻略方法は口外されない傾向にある。
また逆テレパシーで+テレパシーをかき消せるということは、ゴーストの存在感をかき消せるという意味でもある。プレイヤーにゴーストの存在を気付かせることなく、心を盗聴できる。悪意を持つ者が、そんなゴーストを従えると、非常に都合の良い存在になり、だからこそ、攻略方法が口外されない傾向にある。
「なるほど。だから、ゴーストちゃんは、あんなことを聞いてきたのか」
竹内は小さく呟いた。ゴーストが寺井と安井の心を全く読めないのを気にして竹内に「ぷらいばしいいって何?」と質問してきたのだ。
竹内はシステム管理者でありゲームの仕組みは大よそ把握しているつもりでいた。しかし、細かい仕組みに関しては認識不足であり、ゲームを直接プレイして学んでいる状態である。幽霊屋敷の裏システムについてもプログラムコードを参照して今気付いた状態である。
竹内はゲーム中、幾つかの嘘をついていた。高校教師であること、ゲームを知らない初心であること、システム管理者の権限を使えば、清十郎達の探している息子達にも容易に出会わせる事ができること
竹内には、引きこもりの子供がいてゲームに現実逃避している。清十郎達と事情が違うのは、ゲーム内での息子の居場所が分かっている事であり、また、親子関係がどうにもならないと思い込んでいる事にある。
竹内は息子に相手にされない欲求不満な日々を解消するべく、他人の引き篭り相談を受けて、偉そうに説教して欲求不満を解消している。清十郎が引き篭り相談所に来た際に、自分より偉そうな態度をしてくる清十郎に腹が立ち、ゲームの世界で先回りして待ち伏せしていた。
痛み止めアイテムを使い、ゴーストからの攻撃に痛い振りをして清十郎の同情を誘った。清十郎が、この痛いゲームから早々に逃げて貰っては仕返しにならないと思った竹内は、いろいろなヒントを出してる間、清十郎の偉そうな態度が変わってく姿を見てしまった。
普段ぶっきらぼうなキャラが、そうでない態度を突然すると、普段から性格が良い人と同じ位に良く見えるもので
竹内は清十郎と行動を共にする事で感情移入をしてしまい、前向きに冒険を楽しむ様になった。
作品名:引き篭りニートの親、VRゲームにハマる 作家名:西中