引き篭りニートの親、VRゲームにハマる
「昔政府が実験に使っていた施設があります。そこからかならセキュリティも甘いし、私が手伝えば可能かもしれません。 しかし、昔のシステムはあの世界を発見したばかりの頃の旧式で、意識を完璧には飛ばせないです。だから向こうの世界では不十分な形カタチとなった存在になりますよ?」
「不十分なカタチ?」清十郎は思わず口に出した。これから危険な事をしようとしている息子に対して、気が気がでなかった。
管理者は答えた。
「意識が人間になりきれずゴーストな存在になります。またゴーストはゴースト同士で喰らい合う関係で、食べられたら意識を奪われて、死にます。またケガをするの危険です。怪我を負って帰った場合、意識を保てなかったり、廃人になったり、知能に障害が残る可能性が高くなります」
死ぬ可能性あるが、あちらの世界に行けば、また人助けができる。清一にとってはそれが何よりも大切だった。
「だったらいくぞ。ゴーストになってでもログイン中の仲間と連携する」
清十郎は清一の活き生きとした姿を黙って見ていた。引き止める事ができなかった。
清一はアジトに隠していた車に乗込んだ。
ゴーストになったら言語は使えない筈。。姿が見えなくても、意志の疎通は筆談、魔法、アイテムで、なんとかなるかもしれない。
清一はゴーストになった後の戦略を練りつつ車を発進させた。
システム管理者によると、高速道路の64号線のトンネル内から政府の極秘施設に入れるという。
〜旧実験施設にて〜
ダイブ機械は起動してある。システム管理者の支援により、あとは装置に入るだけ
施設内のスピーカーからシステム管理者の声が流れる。
「ダイブ装置は古いので故障している可能性があります。もしもの為に外部から強制ログアウトできるように一人残ってください。私はここへ来るのは難しいので…」
清一は父親に残る様に説得した。
清一がダイブする瞬間を見届ける父親
そして清一の意識が飛ぶ。
異世界で清一の意識が形作られる。その直後に異変が起きた。
施設内の警備システムをハッキングしていたシステム管理者は清十郎に言った。
「大変です! 施設の防犯カメラに不審な人物たちが写っています。」
『ここが敵にバレたのか?』
「直ぐに逃げてください。ここは、わたしが何とか食い止めますのでて、はやく
『分かった!』
清一を強制ログアウトさせる為にシステムの電源を操作した清十郎。しかし清一の意識が戻らない
『どういうことなんだ?、 清一が目を覚まさないぞ!』
清一と比べるとやや機会操作に疎い清十郎は、操作を間違ったのかと思いアタフタした。
『まさか死んだのか?』
「待ってください。いま原因を調べています。」
システム管理者は遠隔操作にてコンピューターから施設の主要なシステムを操ってる。
「何者かが、システム内部に入り込み、清一さんの意識(魂)を肉体から完全に切り離してしまいました。このままだと、清一さんは……死んでしまいます…」
『どうすればいいんだ?』
「こちらから、なんとかしてみます、だけど、もしも駄目な場合、息子さんを置いてここから逃げてください。」
『ばかな! そんなことできるわけが!!』
「ですが、その場合犬死になるだけで、息子さんは無念です。」
『そんなこと言う暇があるなら、息子をなんとかしてくれ!』
大きな爆音、警備システムが破壊、突破された音
システム管理者「思ったよりも、敵の侵入ペースが早いです、。時間がありません、清十郎さんだけでも逃げてください」
清十郎「だから! 無理だって!」
「ここで息子さんと死ぬということですか?」
いや、ちがう
戦うさ
清十郎は清一から預かっていたマシンガンを持ち構えた。
システム管理者「本当に逃げないのですね」
『ああ』
「では、わたしも、戦いましょう」
『戦う? あんたは遠くから機械越しに見ていただけじゃないのか?』
「向かっています。」
システム管理者そう言うと、爆発音が響いた。施設の外で何度も爆発音する。爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発爆発
分厚い扉のセキュリティが解除され、開き、人影が飛び込んできた。すぐ扉は閉じてロックされた。
「ぜえ、ぜえ、ぜえぜえ!」
「助けにきましたよ! 清十郎さん!」
助けに来たその人の姿に見覚えがあった。はじめて出会った場所は引きこもり相談所で、そこのボランティア職員で、VRをやる様にアドバイスした人だった。
『名前はたしか……竹内。そういえばゲーム仲間も竹内という名前の者がいた。』
「わたしの正体、気づきましたか? 清十郎さん。」
竹内は、微笑んでいる。
『でも、なぜ!? だとしても、なぜ、こんな危険な場所に君は来たんだ??』
竹内「以前に、息子さんが私の子供を助けてくれたことがあります
竹内
「私はこのゲームは危険だからと、息子にやらせていませんでした。ですが息子は友達に影響され、何度かログインしました。システム管理者ですから、私は直ぐに気づいて、助けに向かったのですが、
息子はゴーストに殺されそうになり、ログアウトのやり方もわからなくて、間に合いそうにありませんでした。しかし、たまたまその場に、清一さんがいて……
私はそれをキッカケに息子にゲームの真実を話してしまいました。危険だからやるなと。息子は人に言いふらしました。子供ですので戯言のように聞こえるでしょうし、、誰も信じません。
「政府はVRでゲームオーバーした者の脳に殺人パルスを送り、殺した後、家族を丸ごと殺し、親族全てを殺し死体を隠す。戸籍も抹消したりします。警察に行方不明届けをされても相手にもされない。しつこいなら精神病扱いされ病院に入られる事もあります。
息子はわたしにVRをしないと誓いました。もしやるなら、ゲームオーバーしても殺人バルスを受けない私の端末でやるように言い聞かせていたのです、私は安心していたのですが、
息子は友達に嘘を言ったと友鹿にされ、だんだん引きこもる様になりました。VRにのめり込み、学校にも行かなくなり、いつしか、息子は私が犯罪に加担してることを軽蔑し、恨むようになっていきました。わたしは、上に抗えないけど、せめて息子に居場所(リアルで得られない友達)を与えたくて、どうせなら命の恩人である清一さんと息子が友達になれるように裏工作をしました。そして二人は兄弟の様に仲良くなり……。だから私としても清一さんには死んで欲しくないんです。どうにかして息子の友達役をして欲しいのです…。」
作品名:引き篭りニートの親、VRゲームにハマる 作家名:西中