引き篭りニートの親、VRゲームにハマる
ログイン中、担当者の声がおぼろげに聞こえてくる
「私の声が聞こえますか?、ゲームの中にいる間は浅い睡眠状態になります。起きたいときは視界の端にあるログアウトボタンをタッチしてください」
「なるほど。基本的な仕組みは、昔やったネトゲといっしょなんだな」
そう呟いて清十郎は前を歩き始めた
視界はやや暗い。タイマツがフロアを照らしてる。分かれ道が幾多に続いていて、迷路の様になっている。
清十郎が昔プレイしたVRは自然豊かな世界観で視界はどこまでも透き通っていた。 吹き抜ける気持ちいい風や美味しい空気は、とても居心地が良くて日がな一日ゲームの中にいることもあった。
しかし、ゲームの良さはそれだけで、他の要素(モンスター狩り等)は楽しくなかったから、1ヶ月もしないうちに飽きた。それ以降、VR製品の改良版が発売されるも、同じようなものと思い興味がそそられることはなかった。
清十郎は迷路をさまよい続けた。隠し扉や魔法武具を見つけ装備。ゲームの仕組を手探りで理解する。しかし、30分歩き回ってるのにモンスターやプレイヤーを見かけない。ゲームとしては、まだ何も始まっていない状況にイライラしはじめ、ログアウトボタンをタッチしようとした瞬間、背後から悲鳴が聞こえた。
轟音と地響きが背中を追いかけるようき迫ってくる。
「ようやくモンスターのお出ましか。」
清十郎は元来た道を戻り、モンスターと戦っているプレイヤーを見つけた。
モンスターは清十郎を見ると奇声をはっしながら突進してくる。よく見るとフロアをギッシリとモンスターか埋め尽くして、大名行列のように追っかけて来ている。
まるで神風特攻隊のようにタックルしてきて自滅するモンスターたち。戦うつもりなく、自爆するだけのモンスターにHPがどんどん削られていく。
HPが減る度に痛みを感じる
痛みに耐えることがてきず一旦ログアウトをしようかと思ったが、プレイヤーは闘い続けている。自爆する相手と戦っても意味なんてない。逃げた方がいいと説得した。しかし、プレイヤーは
「ダメなんです。この世界で私の息子が引きこもりになっているのです。ここで引いたら、また最初からプレイしなきゃいけない」
そのプレイヤーも、どうやら清十郎と同じような目的でゲームに参加しているようだ。
そのプレイヤーは逃げすに痛みに耐えている。なぜ逃げないのか考えたら
隠し扉に逃げ込む方法を思いついてないか、または隠し扉の存在に気づいてないのかもしれない。清十郎が逃げ道を教えると凄く怖い形相で
「え? 逃げ込む部屋があるんですか? どこ? どこですか!」
必死な勢いに押され、プレイヤーの手を引っ張り隠し扉のある場所に走った。
モンスターは二人を見失い素通りしていく。
「助かりました。ありがとうございます。私のハンドルネームは……」
清十郎がこの時感じた達成感はいいようがないものだった。
清十郎は自分が過去してきたネトゲを振り返り思い出していた。
ゲーム内での感謝は、あくまバーチャルであって電源を切れば、なかったことになる。経験値はいくら集めてもプレイヤーとの力差が生まれてゲームバランスが壊れ、つまらなくなるだけ。
しかしこのゲームはリアルに疲れるし、リアルに痛いし、リアルに感謝される。ゲームの目標でさえ「息子を助ける」というリアルになものになってる。バーチャル性を殆んど感じないゲームであるのだ。
清十郎は察したように考えていた。それを遮るようにプレイヤーはお礼を述べていて
「実はさっきの敵は自爆するけど、自爆自体がダメージになるんじゃないんです。あれは幻覚みたいなもので、幻をプレイヤーに見せてる隙に見えないゴーストが攻撃してくるんです」
1時間後、清十郎は一旦ログアウトして現実世界に戻り思った。
『このゲームは軽い気持ちでやると、ミイラ取りがミイラになりかねない』
清十郎は息子が病みつきになり引きこもりになる気持ちが少しだけ、わかった気がした。
3話
どうですか?ゲームの調子は?
引きこもり対策の専門家がゲームを奨めるのは おかしなものだが、しかし
専門家はこうも言っていた。
専門家『十年前、内閣府の調査で 引きこもり40歳以上の人口が50万人を超えたという発表があったのはご存知ですか? 引きこもりの平均年数は25年で、家庭内暴力は親から子へ50件、子から親へは50件の報告があります。家庭内の恥として申告のないものを潜在値に含めたら、その数は更に増えます。先日も親子間で殺人事件がありましたね。 介護疲れから殺すケースや自殺を手伝うケース、いろいろありますが、統計数値的に改善の兆しがありません。VRが発売されて以降も改善率は変わらずです。、しかし、引きこもりによる殺人事件や自殺に限っていえば、VR登場以降確実に減少しているのです。ゲームを通して重症な引きこもりを理解することで、何かしらの小さな改善の兆候が見えるのです。ですからお父様も……
重苦しい。引きこもりの子を持つというのは、実に虚しい。まるで人生を否定されたかの様。子供にも世間にも、親失格と馬鹿にされてる気がする。自己責任っていわれたくない……
清十郎はぶつぶつと呟きながゲームにログインしていた。
先日知り合った引きこもりの子持つプレイヤーとパーティーを組んで、迷宮探索をしている。回復スポットでHPを回復し、今後の戦略を話し合っていた。
「ゴーストに対する攻撃は物理こうげきよりも、たいまつが良いのでは?」
「そういばフロアのあちこちに、たいまつが設置されてましたね。ゲーム性を考慮したら、ゴースト攻略の方法として可能性あるかもしれない。序盤の敵であるのだから、そんなに強くないと思いますし」
予測通り自爆する敵(ゴースト)を追い払うことができた。隠し部屋に隠れなくてよくなり、迷宮探索かしやすくなり、行動範囲が広がっていった。
迷宮を進むと道がどんどん狭くなってく。ここでモンスターに遭遇してしまうと身動きが取れなくて厄介だ。タイマツを構える。
更に進むと、奥に明かりが見える
話し声が聞こえる。プレイヤーかもしれない。狭い道を進むと
大きなフロアが視界に現れる
プレイヤーたちが何人も集まっている。10人、20人、数を数える清十郎。皆、初心者のようで、顔をあわせて、挨拶をしている。清十郎も挨拶した。
なんで集まってるのか聞くが、皆、曖昧で「人が集まっているから、なんとなくここに」という回答。誰に聞いても同じで、最初にこのフロアに来ていたとされる者が分からない。フロアから出て行ったプレイヤーはいないので、誰かが嘘をついていることになる。
疑問していると、
フロアの床が突然開きだした。
轟音と地響きと供に、何かにしがみつか無ければ立てないだろう地震に耐えていると。
今度は前方の壁が崩れはじめる。
フロアの床下は足がすくむほどの高さがある。大地と雲、海が見える。
壁が崩れた先は視界が開けていて
惑星の輪郭さえも見える。
「まさか、ここを飛び降りろとでもいうのか?」ひとりのプレイヤーが言った。
「私の声が聞こえますか?、ゲームの中にいる間は浅い睡眠状態になります。起きたいときは視界の端にあるログアウトボタンをタッチしてください」
「なるほど。基本的な仕組みは、昔やったネトゲといっしょなんだな」
そう呟いて清十郎は前を歩き始めた
視界はやや暗い。タイマツがフロアを照らしてる。分かれ道が幾多に続いていて、迷路の様になっている。
清十郎が昔プレイしたVRは自然豊かな世界観で視界はどこまでも透き通っていた。 吹き抜ける気持ちいい風や美味しい空気は、とても居心地が良くて日がな一日ゲームの中にいることもあった。
しかし、ゲームの良さはそれだけで、他の要素(モンスター狩り等)は楽しくなかったから、1ヶ月もしないうちに飽きた。それ以降、VR製品の改良版が発売されるも、同じようなものと思い興味がそそられることはなかった。
清十郎は迷路をさまよい続けた。隠し扉や魔法武具を見つけ装備。ゲームの仕組を手探りで理解する。しかし、30分歩き回ってるのにモンスターやプレイヤーを見かけない。ゲームとしては、まだ何も始まっていない状況にイライラしはじめ、ログアウトボタンをタッチしようとした瞬間、背後から悲鳴が聞こえた。
轟音と地響きが背中を追いかけるようき迫ってくる。
「ようやくモンスターのお出ましか。」
清十郎は元来た道を戻り、モンスターと戦っているプレイヤーを見つけた。
モンスターは清十郎を見ると奇声をはっしながら突進してくる。よく見るとフロアをギッシリとモンスターか埋め尽くして、大名行列のように追っかけて来ている。
まるで神風特攻隊のようにタックルしてきて自滅するモンスターたち。戦うつもりなく、自爆するだけのモンスターにHPがどんどん削られていく。
HPが減る度に痛みを感じる
痛みに耐えることがてきず一旦ログアウトをしようかと思ったが、プレイヤーは闘い続けている。自爆する相手と戦っても意味なんてない。逃げた方がいいと説得した。しかし、プレイヤーは
「ダメなんです。この世界で私の息子が引きこもりになっているのです。ここで引いたら、また最初からプレイしなきゃいけない」
そのプレイヤーも、どうやら清十郎と同じような目的でゲームに参加しているようだ。
そのプレイヤーは逃げすに痛みに耐えている。なぜ逃げないのか考えたら
隠し扉に逃げ込む方法を思いついてないか、または隠し扉の存在に気づいてないのかもしれない。清十郎が逃げ道を教えると凄く怖い形相で
「え? 逃げ込む部屋があるんですか? どこ? どこですか!」
必死な勢いに押され、プレイヤーの手を引っ張り隠し扉のある場所に走った。
モンスターは二人を見失い素通りしていく。
「助かりました。ありがとうございます。私のハンドルネームは……」
清十郎がこの時感じた達成感はいいようがないものだった。
清十郎は自分が過去してきたネトゲを振り返り思い出していた。
ゲーム内での感謝は、あくまバーチャルであって電源を切れば、なかったことになる。経験値はいくら集めてもプレイヤーとの力差が生まれてゲームバランスが壊れ、つまらなくなるだけ。
しかしこのゲームはリアルに疲れるし、リアルに痛いし、リアルに感謝される。ゲームの目標でさえ「息子を助ける」というリアルになものになってる。バーチャル性を殆んど感じないゲームであるのだ。
清十郎は察したように考えていた。それを遮るようにプレイヤーはお礼を述べていて
「実はさっきの敵は自爆するけど、自爆自体がダメージになるんじゃないんです。あれは幻覚みたいなもので、幻をプレイヤーに見せてる隙に見えないゴーストが攻撃してくるんです」
1時間後、清十郎は一旦ログアウトして現実世界に戻り思った。
『このゲームは軽い気持ちでやると、ミイラ取りがミイラになりかねない』
清十郎は息子が病みつきになり引きこもりになる気持ちが少しだけ、わかった気がした。
3話
どうですか?ゲームの調子は?
引きこもり対策の専門家がゲームを奨めるのは おかしなものだが、しかし
専門家はこうも言っていた。
専門家『十年前、内閣府の調査で 引きこもり40歳以上の人口が50万人を超えたという発表があったのはご存知ですか? 引きこもりの平均年数は25年で、家庭内暴力は親から子へ50件、子から親へは50件の報告があります。家庭内の恥として申告のないものを潜在値に含めたら、その数は更に増えます。先日も親子間で殺人事件がありましたね。 介護疲れから殺すケースや自殺を手伝うケース、いろいろありますが、統計数値的に改善の兆しがありません。VRが発売されて以降も改善率は変わらずです。、しかし、引きこもりによる殺人事件や自殺に限っていえば、VR登場以降確実に減少しているのです。ゲームを通して重症な引きこもりを理解することで、何かしらの小さな改善の兆候が見えるのです。ですからお父様も……
重苦しい。引きこもりの子を持つというのは、実に虚しい。まるで人生を否定されたかの様。子供にも世間にも、親失格と馬鹿にされてる気がする。自己責任っていわれたくない……
清十郎はぶつぶつと呟きながゲームにログインしていた。
先日知り合った引きこもりの子持つプレイヤーとパーティーを組んで、迷宮探索をしている。回復スポットでHPを回復し、今後の戦略を話し合っていた。
「ゴーストに対する攻撃は物理こうげきよりも、たいまつが良いのでは?」
「そういばフロアのあちこちに、たいまつが設置されてましたね。ゲーム性を考慮したら、ゴースト攻略の方法として可能性あるかもしれない。序盤の敵であるのだから、そんなに強くないと思いますし」
予測通り自爆する敵(ゴースト)を追い払うことができた。隠し部屋に隠れなくてよくなり、迷宮探索かしやすくなり、行動範囲が広がっていった。
迷宮を進むと道がどんどん狭くなってく。ここでモンスターに遭遇してしまうと身動きが取れなくて厄介だ。タイマツを構える。
更に進むと、奥に明かりが見える
話し声が聞こえる。プレイヤーかもしれない。狭い道を進むと
大きなフロアが視界に現れる
プレイヤーたちが何人も集まっている。10人、20人、数を数える清十郎。皆、初心者のようで、顔をあわせて、挨拶をしている。清十郎も挨拶した。
なんで集まってるのか聞くが、皆、曖昧で「人が集まっているから、なんとなくここに」という回答。誰に聞いても同じで、最初にこのフロアに来ていたとされる者が分からない。フロアから出て行ったプレイヤーはいないので、誰かが嘘をついていることになる。
疑問していると、
フロアの床が突然開きだした。
轟音と地響きと供に、何かにしがみつか無ければ立てないだろう地震に耐えていると。
今度は前方の壁が崩れはじめる。
フロアの床下は足がすくむほどの高さがある。大地と雲、海が見える。
壁が崩れた先は視界が開けていて
惑星の輪郭さえも見える。
「まさか、ここを飛び降りろとでもいうのか?」ひとりのプレイヤーが言った。
作品名:引き篭りニートの親、VRゲームにハマる 作家名:西中