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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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魔導姫譚ヴァルハラ

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 いつ世界が滅びるのか、脅えながら毎日毎日、日付を確認しながら、その日にあった出来事を書き記す。
 今日の日付は『二〇一二年七月二十日』と書かれている。
 日記の内容はこうだ。

 あれからもう何年が経ったのだろう。
 高校生だった私も、今では社会人として毎日満員電車で遠くの会社に勤める日々を送っている。
 今でもなぜ帰ってこられたのかわからない。
 もしかしたら、すべて夢だったのかとも思った。
 でも、今でも私の背中には刻印が残っている。このせいでビキニを着れないのはちょっと嫌だ。温泉にも行けない。
 だからあの出来事は本当にあったことなのだろう。
 そして、私がこの世界に帰ってきた一九九九年七月二〇日。
 その日はなにも起こらずに過ぎ去った。あの世界ではトキオ聖戦が起きたのに、この世界ではなにも起きなかった。その後も、なにも起きない日常が続く。
 けど私は怖い。
 もしかしたら、いつの日か何かが起こってしまうんじゃないかって。
 一九九九年の七月が過ぎ、世間ではノストラダムスの予言が外れたと騒がれた。外れてしまった予言はすぐに忘れられ、あれだけ加熱したブームもすぐに消えた。でも私は知っている。あの世界では予言が当たっていたんじゃないかって。
 あんな出来事があったせいで、私はオカルトなどに興味を持つようになった。
 二一一二年の今年、マヤ文明の暦が終わりを迎える。
 あの時のような過熱ぶりはないけど、ノストラダムスの予言に代わる終末論として、一部のオカルト関係者からは注目されている。
 マヤ文明の暦が終わったとき、『ひとつの時代が終わりを告げる』のだという。それはまさにトキオ聖戦後の世界みたいだ。
 私は怖い。
 今年がどうか無事に明けますように……。

 完