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北へふたり旅 61話~65話

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 中国人カップルは五稜郭で降りるらしい。
全員が同じ観光地へ行くと思い込んでいたが、別のグループもいるようだ。
それにしても右を見ても左を見ても、前を向いてもうしろを見ても
見えるのはおおきな荷物を持った中国人ばかり。

 電車が五稜郭駅のホームへ滑り込んだ。
「謝謝」中国人カップルが片手を揚げ、笑顔で降りていく。

 「トンに教えてもらった中国語。
 短期間にしては、上手に話していたじゃないか」

 「トンの教え方がよかったの。
 お礼にトンに、すこし日本語を教えてあげました」

 「Sさんが聞いたら泣いて喜ぶ話だ。
 でどうなったの。すこしは進歩したか、トンの日本語は?」

 「それがね。ぜんぜん上手にならないの。
 いくら教えても次の日は、きれいさっぱり忘れちゃうのよ」

 「覚える気がないんだな。トンのやつ」

 「あいかわらず日本語が駄目なの、トン君は。
 それでね。通訳さんがトン君のために、とっておきの作戦を考案したの」

 「ほう。どんな作戦だ?」

 「スマホをつかった個人レッスン。
 毎晩ひとフレーズづつ、日本語のレッスンをおこなうの」

 「なんだよ。いたって普通じゃないか」

 「トン君のやる気を引き出すため特別に、美人の先生を用意したの」
 
 「おっ。俺でもやる気になるな。相手が美人の先生なら。
 それでどうした。レッスンはうまくいったのかい?」
 
 「トン君のテンションがべらぼうに上がったそうです。
 まわりが心配するほど、スマホの個人授業に集中したそうです」

 「大成功だ!。トンのやつ。ついにやる気になったんだな」

 「それがね・・・じつは大失敗です。
 トン君が集中したのは日本語ではなく、まったくべつのものでした」

 「別のもの?。なんだ別のものとは?」

 「巨乳。日本語の美人先生、じつは巨乳なんですって。
 トン君は巨乳が大好き。
 目をおおきく見開いて、じっと巨乳ばかり見つめていたんです」

 「あはは。目の付け所が違うな。さすがトン君だ」

(66)へつづく